「時空を超えた花嫁」は英語の小説「If Wishes Were Horses」の日本語訳の長編タイムスリップ・ジェンダースリップ小説です。Yulia Yu. Sakurazawa(私)と10年来の親交があるLasya Shashimohanとの共作です。Lasyaとは他に「Stranded Cruise(座礁クルーズ船)」を共著しましたが、プロット立案において座礁クルーズ船は私が、本書はLasyaがリードしました。その結果、インド人の歴史観と対英国観が如実に反映された作品になったと思います。
インド人コーグ族の16歳の少女シータと、その生まれ変わりとも言えるインド系アメリカ人男性の24歳のアディの運命的な苦悩と愛を描く、ある意味で極めて官能的な長編小説(Cross-Gender Timeslip Story)ですが直接的な性交描写は殆どありません。
本書は地球の対極にある以下の2地点と80年間を跨ぐ小説です。
1. 2019年のアメリカ・ニュージャージー州のエジソン
2. 1935~1947年のインド・カルナータカ州のマディケリ
マディケリはインド南西部カルナータカ州のコダグ地方の中心地です。コーグ族はコダグ地方を中心に住む民族で、独自の言語、文化、歴史を持っています。農業や牧畜に従事する一方、勇敢さと武術を尊重する戦士集団であり、家族やコミュニティを重視し、様々な祭りや儀式が行われているので、観光客にも人気のある文化遺産となっています。
小説の中にも出てきますが、服装が独特で、サリーの巻き方が異なり(右後ろにプリーツを作り体を一周させて左肩から前へと垂らす)男性は独特な膝丈のチュニックとターバンを巻きます。本書の前に出版された「ソフィーの変身:魔法のヤシ酒が紡ぐ運命の物語」の舞台であるゴアより南方にありますが、インドの南西部には中央部分(主流部分)とは歴史や文化が異なる地域があり、知れば知るほど奥深いものがあります。
主人公の青年が80年前のインドにタイムスリップし、16歳だった頃の曾祖母として目覚めます。そして、それは彼女の結婚式の朝でした……。