イラストノベルの第1弾「三つの願い」を出版しました。
性転のへきれきTS文庫の「三つの願い:今日からOLになりなさい」の英語版「Three Wishes Gone Awry」を出版することになり、ChatGPT(GPT-4)で日本語を特定のスタイルの英語に書き直し、その英語をQuillbotやDeepLの助けを借りて、自然な英語の文章へと編集しました。その際に挿絵を入れようと思って、幾つかのシーンを画像生成AIでイラストにしてみました。
(表紙画像をクリックするとAmazonのページが表示されます。)
実は、画像生成AIはStable DiffusionやMidjourneyが出る前から表紙画像用に使ってきました。当時は今の画像生成AIのような自然な人物像を描くのは不可能に近く、VQGAN+CLIPというOpen SourceのAIをクラウド(Google Colab)で走らせて「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」形式でシュールな画像を生成し、表紙画像の背景に使ったり、NFTをOpenSeaで発売したりしていました(全然売れませんでした。)MidjourneyやStable Diffusion及びその周辺のAIは今年に入ってから加速度的に能力が上がってきており、頭に思い描くイメージに近い画像を生成しやすくなってきました。私はまだまだ初心者の域を出ないのですが、既にAIでマンガを描く人も出てきているようです。
全12章からなる英語版 「Three Wishes Gone Awry」には、1章あたり少なくとも1つの挿入画像を入れようと決意して、AI画像の生成に挑み、結局19の画像を挿入することができました。画像の生成にはStable Diffusion XL、TensorArt.Ai、Leonardo.aiなどを使って、各々数十枚の画像を生成した中から選んだので、全19画像を得るまでに、数百枚(の上の方)のAI画像を生成したことになります。
日本語版「イラストノベル:三つの願い」は英語版と同じ位置に同じ画像を挿入して完成させました。19枚もの大画像が入れば絵本に近い雰囲気になるのではないかと期待していたのですが、出来上がったものを読んでみると、「ところどころに挿絵が入っているかな」という読後感でした。私が目指したかったのは「小説とコミックの間の読み物」だったのですが、そこまで行くには長編小説だと百枚近い挿絵(1ページ大の画像)が必要ではないかと感じた次第です。
それでも一応、英語版はIllustrated Novel、日本語版はイラストノベルという看板を掲げました。Amazonで検索すると、Illustrated Novel、イラノベ、イラコミ、イラストノベル、等々と称する本は、少数ですが既に存在しており、特にアダルト絵本的なものはかなり前からあったようです。(イラスト・ラノベをイラノベと称するのはかっこいいと思いました。)
最近ではStable DiffusionにControlNetという拡張AIを使うか、LoRaを使うことにより、同じキャラクターの顔で服装やポーズを変えた人物画像が生成できるようになっています。今回の三つの願いではそこまでのテクニックは身についていなかったのでキャラクターの顔がばらつきましたが、第2弾のイラストノベルではその点を実現させたいと思っています。
きっかけとしては英語の本の売り上げを伸ばすための手法としてイラストノベルを手掛けたわけですが、むしろ純粋に小説とコミックの間に来る新しい領域を開拓するのが面白いかもしれません。①日本語小説の英語Illustrated Novelと日本語原作のイラストノベルの同時出版、②その逆で英語小説の日本語イラストノベルと英語原作のIllustrated Novelの同時出版、③そのために書き下ろした日英両語の短編小説と大量の画像を合体させたイラストノベル、の3通りでチャレンジするつもりです。