イラストノベルの第3作として「ウクライナの幻影」を出版しました。英語版のIllustrated Novel: “The Phantom of Ukraine: An Identity Swap Thriller Across Borders”との同時出版となります。
国境を越えた身分交換サスペンス
「ウクライナの幻影」はロシアのウクライナ侵攻がもたらした日露間の地政学的緊張を背景に、東京在住の大学生が、ある日突然、波乱万丈の世界へと追いやられるサスペンス小説です。
政治活動や暗い過去などとは無縁な18歳の男性が、ただ偶然誰かに似ているという理由だけで、スパイの世界に放り込まます。日本人の母親を持つウクライナ活動家ユーリ・クラーサヴァと名前の響きが似ており、外見が不思議なほどそっくりだったために人生を根こそぎひっくり返された黒澤勇児(ユージ・クロサワ)の物語をお聞きください。
ロシアのFSB(旧KGB)による拉致、監禁と仕組まれた亡命の向こうに、国籍だけでなく性別も含めた新たなアイデンティティを模索する主人公の大冒険の旅が繰り広げられます。国後島、樺太、モスクワを跨いでユリアというアイデンティティを持つことを余儀なくされた主人公は、政治的緊張が渦巻く環境において、本来自分のものではない性別で人生を歩むことが何を意味するのかを深く掘り下げながら生きていきます。
ロシアとウクライナの政治的背景は、単にスリリングな設定というだけではなく、世界のある地域でLGBTQコミュニティが直面している現実の課題を痛切に思い起こさせる役割を果たしています。結局、この小説の本質は、人々がダイバーシティを尊重し、LGBTQの権利を認めることを求めるものかもしれません。
イラストノベル:本書は、同時に出版される英語版のIllustrated Novel:”The Phantom of Ukraine: An Identity Swap Thriller Across Borders”の日本語版です。原作は「幻のウクライナ(2022年出版)」です。この小説には20点以上の高解像度のイラストが含まれています。