公園のオカマ:今日から女の子になりなさい

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桜沢ゆう性転のへきれきシリーズの新作小説「公園のオカマ:今日から女の子になりなさい」をかなり修正を加えて改訂再出版しました。

主人公は大学1年生の秋野。親友の有田が公園で巨大なオカマと遭遇したのが発端です。秋野はオカマが公園の駐車場で車中泊をしていると主張し、主人公と一緒に見に行きますが、オカマにつかまって車中泊旅行に同行することになってしまいます。発端は千葉県にある公園ですが、物語は福島県の天栄村、白河城、会津若松市、裏磐梯から米沢という南東北を舞台に展開します。結構シリアスなリアル系TSエンターテインメント長編小説(約12万文字)です。

「公園のオカマ」は私自身の実体験をベースにした小説であり、性転のへきれきTS文庫の私の気持ちとしてのランキングでは常にトップ5に入っている作品です。

あ、誤解されたかもわかりません。実体験というのは、主人公の親友の有田君がある日の朝、千葉県習志野市の秋津公園の南側歩道を歩いている時に、歩道から林を隔てた所にある大駐車場へと中年のオカマが入って行くのを見たという部分です。2~3メートル盛り上がった所にある林に分け入って大駐車場に行くのは普通でない行為なので記憶に残っています。また、秋津公園大駐車場は午前9時まで出入り口が閉鎖されており、私が見たのは午前8時ごろなので、車中泊していたのはほぼ確実なのです。

秋津公園に隣接して香澄公園があります。香澄公園での実体験がベースとなった小説は2作品あります。ひとつはファッション研究会のスカート男子プロジェクトです。2017年5月のある朝、私は香澄公園の遊歩道で女子高のスカートをはいて自転車を押している20歳前後の男性とすれ違いました。紺の短パンをはいた男性が自転車を押してるんだな、と思っていたのですが、短パンの裾が少し広がっているように見えました。近づくと、短パンの裾が左右に揺れていたので、「まさか!」と思いました。紺のプリーツスカートだと分かったのは、2~3メートルに近づいてからでした。あっけにとられて立ち止まり、彼の後姿を目で追いましたが、颯爽と自転車を押す彼の後姿はあっという間に小さくなりました。オカマっぽさの気配は微塵もなく、どちらかと言えば田舎っぽい顔で髭のやや濃い若者でした。彼が何の目的で高校の制服のスカートをはいて自転車を押していたのか、想像もつきません。

もうひとつは未来が見える少女です。香澄公園にはドングリのなる木がたくさん生えていて、秋深くなると林に立ち入れば風が吹くたびにドングリがパラパラと降ってくることがあります。地面に落ちる前に手で受け止めれば清潔なドングリが手に入ると思って、しばらくキャッチしようと頑張りましたが、私の動体視力と敏捷性ではドングリ1個すらつかめませんでした。ドングリがつかめる超能力が手に入ったらどうなるだろう?でもそんな超能力に使い道はあるのだろうか?と考えていると「未来が見える少女」の小説が出来上がりました。

同じドングリ体験は制服はジェンダーレスにもひとつのシーンとして地味に活かされています。私の人生で輝きのある記憶のひとつなので、将来また小説の中に出て来るかもしれません。

さて「公園のオカマ」の題名は主人公を良くも悪くも導くことになる登場人物との出会いをそのものズバリ表していますが、その後のストーリーはこの題名には反映されていません。キーワードは大自然、頭上の天空に広がる銀河です。天栄村の山中の研修施設での女子高生(正確には大学受験浪人の女生徒)としての2週間の強烈な体験が描かれた、軽いようで重い、でも楽しく読める作品だと思います。

私が読み返すたびに胸が熱くなり涙が溢れるのは、小説の終盤の米沢城のお堀端の駐車場でハイエースを降りた時のシーンです。そのシーンで涙が出る読者は、それ以外の部分も深く共感していただけるのではないかと思います。そこで涙が出ない方にとっては、小説の前半と中盤に面白さのピークが来るかもしれません。


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これは性転のへきれきTS文庫、日英TS文庫、その他の桜沢ゆうの出版物を紹介するHPと桜沢ゆうのブログを兼ねたサイトです。桜沢ゆうは千葉県在住の作家で、1997年に処女作「性転のへきれき(ひろみの場合)」を出版して以来創作活動を続けており、数多くのロマンス小説、ファンタジー小説、サスペンス小説、ソフトSF小説などを出版しています。作品の多くは性同一性障害、性転換のテーマを扱っています。小説の分類としてはTS小説が多く、その他は純文学となります。

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