阿波の踊り子「編み笠に揺れる性」と「男子総合職はOL?」

桜沢ゆうの性転のへきれきTS文庫の小説「阿波の踊り子」は「就活編」と「新入社員編」の2部に分けて出版されました。

  1. 阿波の踊り子(就活編): 編笠に揺れる性
  2. 阿波の踊り子(新入社員編): 男子総合職はOL?

この小説は当初「自立心の強い女性が自由に力を発揮できる環境」を旨とする会社に勘違いで就職してしまった主人公が右往左往するコメディータッチのTS小説として企画しました。中途半端な設定では新鮮味がないので「男子総合職」という花嫁候補の超イケメン男子のプールの位置づけの職種を設定し、彼らにはつい近年まで日本の花のOLたちが置かれていた状況や今も存在するセクハラを体験させることにしました。現実ではあり得ない立場を制度として設定し、ディストピア小説的(MなTS読者にとってはユートピア小説的)にしてみました。

2016年1月に出版した女性上位の広告代理店(旧題:女性が主流の会社への就職)に出てくる「喜び組」と似たような立場ですが、この小説では男子総合職という職掌を制度化したことで、さらに極論に走ることができたと思います。

当初の企画では10万文字程度の(普通の「長編」の長さの)小説になるはずでしたが、準備段階である大学時代の部分を予定外に長くしてしまった結果、長編2冊分もの長い小説になったので、就活編(編み笠に揺れる性)と新入社員編(男子総合職はOL?)の2部に分割して出版しました。

高校時代の憧れの女性である夏菜との出会いの部分を「味付け」程度にさらっと挿入するつもりだったのですが、夏菜から「笑わ連」に誘われたのは、実は当初のプロットには無かったのです。

阿波踊りの女踊りに絡む題材は二年ほど前から温めてきており、いずれ書くつもりだったのです。ところが、夏菜に誘われて、あっという間に女踊りに引き込まれ、それまで温めていたものを、この小説の中に投入してしまいました。

女踊りで魂を根底から揺さぶられた鈴之助だからこそ、男子総合職として全力で生きることができたし、もし女踊りを経験していなければ真凛や雪村への気持ちはもっと単純なものになっていたと思います。

それにしても阿波踊りには本当に心を揺さぶられます。女踊りの夜というネタは今回で使用済みにはせず、形を変えてもう一度挑戦したいと考えています。

なお、家族や夏菜との会話の阿波弁は私が時間をかけて調査した上で書いたものを徳島県出身の友人に校閲して頂いたので、そこそこ通用するレベルのはずですが、勿論、徳島県人の方が読めば色々アラは見つかると思います。どの地方の方言もそうですが、若い人の阿波弁は関西標準語に近く、老人の方言はヘビーなので、小説中の会話を各局面でどの程度の阿波弁にすべきかの判断が容易ではありませんでした。

阿波弁は関西の言葉の中では京都弁とアクセントが似ている柔らかい言葉だと言われます。阿波弁特有の単語や語尾(例:ほなけん、じょ、でよ)があり、他府県では女言葉にしか使われない語尾を男性がしゃべるというのが興味深い発見でした。(例:頬に傷のあるヤクザのお兄さんが「じゃあ、行くぞ!」と言う緊張した場面で「ほな、行くじょ!」と言う。)次の阿波踊りの小説を書く時までに更に勉強したいと思います。


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