産経ニュースでネコ100匹を一斉不妊手術の記事を読んでショックを受けました。
高松市の男木島で、増えすぎた野良猫が農作物を食い荒らしたり漁網を食いちぎるなどの被害を防ぐために野良猫を片っ端から捕まえて不妊手術を行ったとのことでした。人口が180人しかいない男木島にネコ200匹が住んでいることを紹介するテレビ番組のお陰で「猫の島」として観光客が増えていた男木島ですが、生業である農業・漁業を守るのが大事で背に腹は代えられなかったようです。
僕はネコであるの執筆を終えて3日目のタイミングだったので、心の中では自分がネコであるという意識が消えないままにその記事を読み相当なショックを受けました。平和な男木島をいつものようにブラブラ歩いていたら、親切そうな島民が美味しそうな餌をくれる。ニャーンと近寄ったらヨシヨシと捕まえられて手術台に送られるのです。気がつくと自分の股間には女の子のような溝が・・・。
200匹のうち100匹はメスでしょうから100匹の去勢手術を行えば、今生きているネコが老衰した時点で男木島は「猫の居ない島」になってしまうのでしょうか。
去勢手術されるオス猫や、そのオス猫を彼氏と考えているメス猫にとって、それは非常に残酷なことです。自分の将来がある日ガラリと断ち切られ、中性ネコになってしまうのですから。
去勢手術されたオス猫は発情しなくなり、大人しくなるそうです。生殖にかかるストレスから解放されるお陰で心安らかになって寿命も延びるとか。オス猫は赤ちゃんが大好きというよりは子孫を残したいという本能により結果的に子供を作ってしまうのでしょうから、子供ができなくなったからといって人間のように悲観することは無いかもしれません。
強制去勢は非人道的なこととして胸にグサッとささるものがありますが、非猫道的かというと必ずしもそうではないようです。野良猫が増えると殺処分される猫の数が増加するので人口増(猫口増)の抑制は猫道的という側面があるのです。
人間世界のことを考えてみても、突然捉えられて強制去勢されるとその時はショックでしょうが、十代でそんな目に会えば、特に第二次性徴の発現が完了する前なら、その後は女性として生活できることでしょう。もし男性として生きて、人口が増えて「殺処分」されることと比較すると、去勢された方が遥かに幸せです。
殺処分される前の動物の身になって考えると、今回の男木島の強制去勢は良いことだったのではないかと思います。殺処分される前の動物の気持ちやプラトニックラブについて読みたい方には危険な誘惑をお勧めします。
【後記】2019年11月に出版した猫にマタタビは主人公の高校生が本物のネコになって、ネコの視点で壮絶なTS体験をする小説です。
これは性転のへきれきTS文庫、日英TS文庫、その他の桜沢ゆうの出版物を紹介するHPと桜沢ゆうのブログを兼ねたサイトです。桜沢ゆうは千葉県在住の作家で、1997年に処女作「性転のへきれき(ひろみの場合)」を出版して以来創作活動を続けており、数多くのロマンス小説、ファンタジー小説、サスペンス小説、ソフトSF小説などを出版しています。作品の多くは性同一性障害、性転換のテーマを扱っています。小説の分類としてはTS小説が多く、その他は純文学となります。