性転のへきれきTS文庫の「ホームレスあがり:今日からOLになりなさい」を改訂再出版しました。
ブラック企業で酷使されて心神喪失に近い状況で放り出され、ついにホームレスになってしまった青年が、北千住駅の階段を空腹でフラフラしながら降りていて、中年紳士と肩がぶつかり階段を転げ落ちます。中年紳士はホームレスの青年に牛丼を食べさせ、風呂で身体を洗わせます。身の上話を聞いて親身になり、就職を世話してやろうと言い出しました。大手紳士服チェーンに連れて行かれ就活のためのスーツを買ってくれることになりますが、バーゲンの「就活五点セット」はホームレスの青年が予想もしなかった取り合わせのものでした。
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あなたはホームレスになってみたいと思ったことはありませんか?
テレビドラマの刑事ものにホームレスの生活がよく出てきます。会社をくびになったり、家族から捨てられたり、いろんな事情で経済的・社会的に破たんして、他に住むところが無くなった人たちです。中には稀に、世の中の制約に縛られない生活を送りたくてホームレスになる人もいます。一度底辺に追いやられると抜け出すのは容易でないというのが実情だと思います。
私も一度そんな状況に身を置いてみたいと思っていました。実際問題としては、私は清潔好きなので汚いところで寝起きするのは無理だと思います。それに、不良少年によるホームレス狩りの話などを聞くと、怖くてとても飛び込める世界ではありません。
それでもホームレスにはとても興味があり、色々調査をして小説のアイデアを練りました。
高校時代に自分に憧れていた女性が上司になるという設定はプロットに入っていたのですが、最終的に自分がどの相手(富永社長、大森会長、園原優香、人事担当の須藤)と結びつくのかを決めずに書き始めました。富永社長だろうと思わせておいて、蓋を開けたら大森会長だったとかの展開、さらにはセクハラ上司との結婚さえ可能性はあったのです。
コメディータッチの軽い語り口を最後まで続けるつもりで書き進むうちにセクハラ上司のキャラクターが自然に出来上がりました。
部下のOLが自分に気があると上司が勘違いして、交際を申し込んで断られたことがきっかけで深刻なセクシュアルハラスメントにつながるのは実社会でもよくあることだと思います。この小説の場合上司が女性、部下のOLが上司の昔の憧れの先輩だったという設定ですが、似たようなことは身の回りに起きてもおかしくありません。
小説を書いている時には本気で主人公になっているので、詳細プロットを作らずに書き進む場合は自分でもこれからどうなるのだろうかとドキドキハラハラしています。
これは性転のへきれきTS文庫、日英TS文庫、その他の桜沢ゆうの出版物を紹介するHPと桜沢ゆうのブログを兼ねたサイトです。桜沢ゆうは千葉県在住の作家で、1997年に処女作「性転のへきれき(ひろみの場合)」を出版して以来創作活動を続けており、数多くのロマンス小説、ファンタジー小説、サスペンス小説、ソフトSF小説などを出版しています。作品の多くは性同一性障害、性転換のテーマを扱っています。小説の分類としてはTS小説が多く、その他は純文学となります。