桜沢ゆうの性転のへきれきTS文庫の新作「異性への逃避行」が出版されました。千葉大学一年生の枕崎那央が主人公の長編TSサスペンス小説です。
物語のホームとなる舞台はラムサール条約で登録された野鳥の楽園の谷津干潟で、アウェイの舞台は深田恭子の下妻物語で有名な田舎町、下妻です。
千葉大学一年生の枕崎那央は高三の秋に津軽に住む祖母を、大学に入る直前に両親を亡くして一人住まいしています。趣味は谷津干潟周回道路をジョッギングで二周し、谷津干潟南東角近くのベンチに座ってリンゴを剥いて食べながら渡り鳥を観察することです。
谷津干潟に白鷺が飛来した十一月の寒い日、大学から帰宅した那央はジョッギングに出かけます。自然観察センターの裏の周回道路を走っている時にトイレに行きたくなり、道路の横の林に足を踏み入れて立ちションします。それをジョッギング中の三人のオバサンに目撃されて「いやぁねえ」という蔑みの視線を投げかけられます。
ところが、たまたま数分前にまさにその林の中で強姦殺人事件が起きていました。那央が周回道路を一周し終えて、二周目で同じ場所に差し掛かるとその現場には警官がウヨウヨしていました。三人のオバサンが那央を指さして「あの男です」と叫び那央は立ちションを通報されたのだと思って全速力で逃げ出します。しかし、間もなく那央は警官に捕まり、任意同行を求められて警察に連れて行かれます。
運悪く、あらゆる証拠が、強姦殺人事件の犯人は那央であると示していました。このままでは強姦殺人犯に仕立て上げられるのは確実です。那央は隙を見て警察から逃げ出し、長く苦しい逃避行が始まるのでした。
この小説はシリアスなロマンス・ホラー・サスペンス小説で、十万文字超の長編TSエンターテインメント小説です。
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実はこの小説は2年も前にプロットを作成しており、谷津干潟で遭遇した殺人事件の犯人として谷津干潟のすぐそばにある家で匿われ、カムフラージュの為に女性化するというストーリーになっていました。しかし、昨年11月末に発覚した大阪の小6女子誘拐事件で、SNSで知り合った容疑者の栃木県小山市の自宅には先客として女子中学生が居たという話を聞いてインスパイアされて、中盤以降の展開をガラリと変更しました。
性転のへきれきTS文庫のホラー小説は「白馬の騎士」が頭に浮かびますが、日英TS文庫にはホラー小説が幾つかあります。本書は、じっくり読むほどホラー要素が効いてくるのが特徴だと思います。主人公、犯人と小百合という三人の関係と心の動きに注目して展開を味わっていただければ幸いです。小百合は大阪から家出してきた女子中学生、それも一年生という触れ込みで、奇妙な三角関係が始まり、自称高二か高三の主人公との関係が描かれます。ネタバレを防ぐためこれ以上書けないのが残念ですが、児童ポルノ法には決して抵触しないように注意して書いており、その努力のほどは最後まで読むことではじめておわかりいただけると思います。
これは性転のへきれきTS文庫、日英TS文庫、その他の桜沢ゆうの出版物を紹介するHPと桜沢ゆうのブログを兼ねたサイトです。桜沢ゆうは千葉県在住の作家で、1997年に処女作「性転のへきれき(ひろみの場合)」を出版して以来創作活動を続けており、数多くのロマンス小説、ファンタジー小説、サスペンス小説、ソフトSF小説などを出版しています。作品の多くは性同一性障害、性転換のテーマを扱っています。小説の分類としてはTS小説が多く、その他は純文学となります。