僕が妊娠? 男が妊娠出産する世界

「僕が妊娠? 男が妊娠出産する世界」は「男が妊娠出産する世界」の再校閲を機に一部内容を見直し装丁を一新して再出版したものです。

主人公の男性(僕)が宇宙のかなたの惑星に行って妊娠することが一目でわかる表紙画像が魅力的だと思われませんか? 澄み切った目がぐぐっと迫ってくる感じで、私はかなり気に入っています。

男女2カップルの大学生4人組は卒業旅行に行くことになり、主人公の彼女が旅行の企画と手配を任されます。彼女が選んだのはファンタジー・シミュレーターという装置を利用して架空の世界での出来事を疑似体験するという企画でした。彼女はファンタジー・シミュレータによる別世界での体験に関するブログ記事を見かけ、その記事に記されていた代理店で旅行を手配しました。

3月27日出発の卒業旅行のメンバーと4月1日からの就職内定先は以下の通りです。

大沢純弥(僕) 中堅メーカーの総合職
原口玲央(彼女) 超一流企業の総合職
水口 弦(親友) 証券会社の総合職
沢尻真理(弦の彼女) 商社のOL

彼女が手配した旅行は別の惑星への旅行でした。その惑星では日本語を話していて、一見日本と同じように見えたのですが、主人公達はすぐに根本的な違いがあることに気付きます。その惑星では「根本的な」女性上位で男性は徹底的な支配下におかれています。その原因は、妊娠・出産するのが女性ではなく男性である点にあるようだったのです。

ファンタジー・シミュレータシリーズの「危険な誘惑」を読んだ方はファンタジー・シミュレータの仕組みについて詳しくご存知と思いますが、「危険な誘惑」をまだ読んでいない方のために、簡単にご説明しておきたいと思います。

ファンタジー・シミュレータは東京都千代田区の秋葉原の本通りから一本西に入った裏通りで、ツクモ電機の手前を左に曲がって少し行った小さなビルの5階にある施設です。受付のマシンに必要な情報をインプットし、その奥の左の入り口から小部屋に入ると、そこから別世界に飛びます。

「危険な誘惑」では、ファンタジー・シミュレータが被験者の脳を潜在意識の領域まで隈なくスキャンして、願望、欲望、欲求、妄想などの情報を読み取った上で、被験者(および同伴者)を、その願望が実現された別世界に連れて行きました。

ファンタジー・シミュレータは受付のマシンで被験者が乖離度を設定することができます。願望が実現された別世界に行く訳ですが、その別世界が現実世界からどの程度乖離しているかについて乖離度を1から5の範囲で設定できるのです。ちなみに推奨設定は乖離度2となっています。「危険な誘惑」では主人公が乖離度1の旅を2回と、乖離度5の旅を1回選択しましたが、乖離度5を設定した時はマシンから「危険です」との警告が出ましたが主人公が警告を無視して乖離度5を選択したので極度に異常な世界に飛ぶ結果になりました。また、乖離度1でも性の転換が起きたほどですので侮れません。今回のストーリーでは被験者が乖離度4を選択する予定であり、現実世界との乖離度は相当なものとなるはずです。

もうひとつの重要事項としては、別世界での滞在時間があります。別世界での滞在がどんなに長くても、滞在時間が終了すると、元の世界では出発時の数分後に帰着します。別世界での滞在時間は支払う料金によって長くも短くも設定できます。千円で2時間、2千円で4時間、3千円で8時間、4千円で16時間、すなわち「n千円」払うと「2のn乗時間」だけ別世界で滞在できます。例えば1万円だと2の10乗で1024時間(約42日間)、2万円だと2の20乗で約120年間(一生より長い)となるわけです。別世界で死ぬまで過ごしても、その後は元の世界(数分後)に戻ることになります。

「現実からの乖離度を設定した上で、近未来の別世界をリアルに疑似体験させてくれる」のがファンタジー・シミュレータということになりそうです。他人事のように申しましたが、作者自身、まだファンタジー・シミュレータについて真相を十分には知らないのです。

ファンタジー・シミュレータは「被験者と同伴者の脳内だけで体験される架空の世界」であるというのが、第1弾の「危険な誘惑」を読んだ上での認識でした。つまり、リアルではない想像だけの世界、と思っていました。しかし、今回の被験者はファンタジー・シミュレータの実態がそのような単なるデジタル・システムではなく、遥かに複雑かつ壮大でリアルなものであるかも知れないということを実感することになるのです。


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