「痴漢冤罪」の表紙画像をパッと見て分かるイラストへと改善し再校閲して再出版しました。なかなかリアルでいい感じの表紙だなと一人で悦に入っています。
「痴漢冤罪」の主人公は大手企業から内定をもらったばかりの男子大学生です。重役との懇談会を終えて帰宅する地下鉄東西線の電車の中で「この人、痴漢です!」と声を上げられて西葛西駅のホームに引っ張り降ろされます。
主人公はたまたま「痴漢冤罪SOS特約」付きの弁護士費用保険に入っており、アプリを起動してSOSを発信すると、現場近くの刑事弁護士が駆けつけてくれて、冤罪を晴らす手助けをしてくれます。
主人公は自分の行動履歴を示すためにスマホにGoogle Mapの履歴画面を表示して弁護士に手渡しますが、弁護士は手慣れた手つきでスマホを操作し、Amazon Kindleのアプリを開いて主人公が桜沢ゆうの「採用面接」という電子書籍を購入していたことをチラッと覗き見します。主人公は「採用面接」を就活用の手引書と間違えて購入したと言い訳します。その非常に優秀な弁護士が主人公の置かれた状況を判断し、痴漢冤罪を晴らすための作戦を立ててくれます。
性転のへきれきTS文庫の読者にここまで言えば、弁護士が立てた作戦はあらかた想像がつくことと思います。しかし、その作戦の内容を知った上で読んでも「痴漢冤罪」は十分にお楽しみいただける小説です。
小説の中で地下鉄東西線の電車内での痴漢事件(冤罪を含む)が3回発生します。3回とも同じ警察署が絡んでくるのですが、一見似通っていても全く異なる3つのケースについて、法律的観点も交えて詳述しているのでご参考になると思います。特に読者の中で満員電車で通勤している方にとって参考になる話が満載です。万一不幸にして冤罪を受け、警察に連れて行かれた場合にどうすべきか、本書を読んで準備されることをお勧めします。残念ながら本書と同じ作戦を授けてくれる弁護士はそう沢山はいないと思いますが……。