桜沢ゆうの小説「第三の性への誘惑」の改訂版をAmazon及び楽天Koboで出版しました。
「第三の性への誘惑」は “Enchanted into the Third Gender” という題名で英語でも出版されおり、日英TS文庫を代表する作品です。映画のフォレスト・ガンプのようなタッチで淡々と語られる、独特の持ち味でスケールの大きい長編小説です。
再校閲でバッサリと手を入れましたが、ストーリー自体は初版から大きな変化はありませんので初版をAmazonで購入済みの方はご注意ください。
日英TS文庫のレーベルですので、TS、性同一性障害、女装、LGBTが重要な要素となった小説であることを予めご承知おきください。
AmazonのKULの期限の関係で楽天Koboでは7月4日まで予約販売扱いとなります。
男でも女でもない性とは?
第3の性とは何かご存知ですか? 社会の習慣として男性、女性に並ぶ3つ目の性が認知されている国が存在します。その代表がインドです。
インドにはヒジュラという第3の性が存在し、その人口は数十万人から(多い推計では)百数十万人と言われています。
若い日本人ビジネスマンがインド出張中に、ふとしたことがきっかけでヒジュラの世界に足を踏み込んでしまいます。ヒジュラの社会は、合理的で強固なヒエラルキーに基づくルールや儀式によって成り立っています。「第三の性への誘惑」はそのような社会の構造や儀式(とりわけ無麻酔のトランス状態で男性を捨てる儀式)に当事者として踏み込む長編小説です。
物語は2004年の春に始まります。北インドの荒涼とした砂漠地帯にあるオアシスという舞台での美しい踊り子との出会いが、入社2年目の商社マン鈴木小次郎の人生を思わぬ方向に分岐させます。
エキゾチックで奇想天外な物語が、インド、タイ、アメリカ、日本の4ヶ国をまたいで繰り広げられます。映画「フォレスト・ガンプ」のような淡々とした語り口が魅力の長編小説です。
【ヒジュラとは】
ヒジュラは、生まれつきの両性具有(半陰陽)、生まれつき生殖能力の無い男性、外観的に普通でもインポの男性、そして男性として生まれたのに心が女性でどうしても女性として暮らしたい(性同一性障害の)人たちが、生まれついたカーストや親族を捨てて、ヒジュラとして「生まれ変わる」のです。
最も多いのは最後の分類、すなわちどうしても女性になりたくて家族も地位も捨ててヒジュラになる人たちです。
学校で教わる4つのカースト(バラモン、クシャトリア、バイシャ、スードラ)の最下層のスードラ(奴隷)の更に下層として蔑まれているのがアウトカーストですが、ヒジュラはアウトカーストの中でも最下層と扱われる売春婦と同列で、今なお貧しいインドの下層階級において、侮蔑・迫害・差別に晒される毎日を送っています。
ヒジュラに許される仕事は、①結婚祝いや、男子誕生の祝いに招かれたり押しかけて行って踊って祝いお布施をもらうこと、②毎日商店主を回って僅かなお布施をもらうこと、③売春と言われており、それ以外の職業に着くのは至難の業だそうです。つまり、乞食か売春しか認められないのです。(最近は政府のマイノリティ保護政策により、役所の仕事で一定比率でマイノリティの雇用が義務付けられた場合など、極貧の生活から抜け出せるチャンスが開かれています。)
何もかも捨てて最貧民になる覚悟があれば、ヒジュラとしてサリーやパンジャビドレスやスカートを身に着けて一生を送ることができます。どうしても女性として生きたい人が毎年何万人もヒジュラになるということは、性同一性障害(MTF)の問題を抱えることがどれほど深刻なことであるかの証明かも知れません。
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これは性転のへきれきTS文庫、日英TS文庫、その他の桜沢ゆうの出版物を紹介するHPと桜沢ゆうのブログを兼ねたサイトです。桜沢ゆうは千葉県在住の作家で、1997年に処女作「性転のへきれき(ひろみの場合)」を出版して以来創作活動を続けており、数多くのロマンス小説、ファンタジー小説、サスペンス小説、ソフトSF小説などを出版しています。作品の多くは性同一性障害、性転換のテーマを扱っています。小説の分類としてはTS小説が多く、その他は純文学となります。