今月からAmazonと楽天Koboで性転のへきれきシリーズの小説の無料版の配布を開始しました。10冊ほど楽天Koboで無料版を出版し、Amazonでも無料設定に成功したのはまだ4冊ですが、そのうち3冊がAmazonのライトノベル・ランキング(無料の部)で1,2,3位になりました。ラノベ・カテゴリーは激戦区なので無料版とはいえ上位にランクインできて嬉しいです。2018/11/12 11:50現在のスクリーンショットを貼り付けます。(ランキングは刻々と変化するので次回クリックしたときには私の小説が上位に入っているとは限りません。)
無料版の出版を開始したのは、過去に出版した小説の販売促進の目的です。小説全体の三分の一から半分ほどを「前編」として出版しました。楽天Koboは価格がゼロ円の設定で出版可能ですが、Amazonは99円以上にしか設定できません。(Amazonでは5日間まで無料キャンペーンの実施が可能ですが、それが終わると99円以上の設定価格に戻ります。)
ところが、Amazonにはプライスマッチというルールがあり、同じ本がヨソで安い値段で売られているのをAmazonが見つけた場合、強制的に値下げして値合わせするという権限をAmazonは確保しています。その制度を活用して、わざわざ楽天Koboでゼロ円で出版してその事実をAmazonに自分で通報することで、Amazonでも無料販売してもらうことができるのです。
ご存知の通りKindle Unlimitedという制度が出来てから、私は全ての作品をKindle Unlimitedで出版してきました。Amazonに月額980円を払った人は、何冊でも無料で読めるという大盤振る舞いのシステムです。AmazonとKindle Unlimitedメンバーにとっては大盤振る舞いの喜ぶべき制度だったのでしょうが、作家にとっては酷い制度でした。個々の作家によって状況は異なると思いますが、私の場合は固定読者層の過半数(一時期は多分三分の二以上)がKindle Unlimitedになってしまったようで、ロイヤルティー収入が激減しました。日本語書籍の印税はKindle Unlimitedが始まる前の月と比べると何と三分の一になってしまったのです!私の場合はJapan以外での英語小説(75作品)の安定した売上もあるのでまだギリギリ生活できる?状態ですが、日本でKindle Unlimited専業で作家をやっていた人は夜逃げ・一家心中を余儀なくされたというのはウソですが、それほど酷い状況になりました。
このままでは干上がると考え、楽天Koboでの併売を開始しました。Kindle Unlimitedに登録済みの書籍は他社での販売を禁止されているので、90日ごとに登録更新をストップして初めて楽天Koboに出稿できます。現時点では楽天Koboで11作品の出版を行い、そのすべてについて「前編・無料」も出版しました。同じ「前編」をAmazonで99円で出版し、それをプライスマッチで逐次0円設定にすることになります。
楽天Koboへの出稿にあたり、一冊ごとに入念な再校閲を行い、初版を書いた後で「あそこはこうしておけばよかった」という思いが残っている部分は書き直しをしています。ですので、既に初版を読んだことがある方も、(もう一度買ってくださいとは申しませんが)前編・無料版をダウンロードして、味わいの記憶を呼び起こしていただければと存じます。数多くの小説を出版済みなので愛読者の方でもどれがどれだったか忘れていらっしゃると思います。校閲していて、書いた自分でさえ「ああ、そうだったんだ」と思うことも多いです。正直なところ、校閲していて「性転のへきれきシリーズってこんなに面白いんだな」という思いに浸っています。(これは半分セールストークです!)
【後記】2020年2月~3月に楽天Koboその他Amazon以外での販売を中止しました。約1年間の試行錯誤により、例えば980円の書籍の場合、楽天Koboで得られる一冊当たり686円の印税よりも、Kindle Unlimitedで得られるロイヤルティーの方がずっと大きいとの結果が出たからです。Kindle Unlimitedの場合は実読ページに対して約0.5円(毎月異なる)のロイヤルティーが付与されます。200ページの本一冊で100円にしかならないのですが、私の作品の場合はAmazonの方が少なくとも7倍以上の冊数になりました。Kindle Unlimitedに登録するのはAmazon以外で販売しないことが必須条件なので、Amazonに一本化しました。一時期は楽天Koboにシフトしようとしてご不便をおかけしたことをお詫び申し上げます。
なお、楽天Koboに「前編」として出している拡大試読版については引き続きダウンロード可能となっています。
これは性転のへきれきTS文庫、日英TS文庫、その他の桜沢ゆうの出版物を紹介するHPと桜沢ゆうのブログを兼ねたサイトです。桜沢ゆうは千葉県在住の作家で、1997年に処女作「性転のへきれき(ひろみの場合)」を出版して以来創作活動を続けており、数多くのロマンス小説、ファンタジー小説、サスペンス小説、ソフトSF小説などを出版しています。作品の多くは性同一性障害、性転換のテーマを扱っています。小説の分類としてはTS小説が多く、その他は純文学となります。