桜沢ゆう性転のへきれきTS文庫の「元祖対本家:深川のロミオとジュリエット」のタイトルを「ジュリエットになったロミオ(元祖対本家)」に変更し、表紙画像もストーリーに即したものに変えて改訂再出版しました。敵対する本家飯野屋と元祖飯野屋に生まれた二人のラブストーリーです。
シェイクスピアのロメオとジュリエットはモンタギュー家とキャピュレット家という仇敵どうしの息子と娘の悲恋を描いた悲劇ですが、この小説は本家飯野屋と元祖飯野屋という血縁絡みの商売敵の息子と娘、息子と息子、娘と息子、娘と娘、母親と母親などの確執と愛憎を描く長編TS/BL悲喜劇です。
主人公は本家の跡取り息子の樹里(僕)ですが、高一で同級生になった元祖の娘と同じクラブに入って親友になり、自然な流れで表紙画像のような立場に追いやられます。
結局誰と誰が夫婦になって本家飯野屋と元祖飯野屋を一緒にした「統合飯野屋」を立て直すことができるのか、最後までわかりません。また洋裁について詳しく扱っているのでためになる本です。
題名がずばり示唆する通り、仇敵の関係にある「本家飯野屋」と「元祖飯野屋」の子供どうしが許されない恋仲になる設定は、シェークスピアのロミオとジュリエットのキャピュレット家 vs. モンタギュー家の関係を模したものです。両家には各々息子と娘が居て、お互いに好き合っています。両親と子供の合計8人が搭乗し、紛らわしいので整理しておきましょう。
本家飯野屋:荷風(当主)、恭子(妻)、百合絵(長女)、樹里(長男)
元祖飯野屋:紋太(当主)、静香(妻)、呂美男(長男)、美香(長女)
元祖の跡取り息子の呂美男はロミオそのものですが、本家の娘の「ユリエ」も跡取り息子の「ジュリ」も Julietteになる資格が十分なように思えたのは私だけでしょうか? 商号を「飯野屋」ではなく「江藤屋」にすれば江藤樹里は英語で書くとJURI ETOでジュリエットそのものになったのですが、そこまでやるとアカラサマすぎるので自制しました。(実は、他にもシェイクスピア関連もので江藤樹里という主人公が登場する小説の構想があり、そのために取っておいたという面もあります。)
もうひとつの伏線として、恭子(妻)と静香(妻)は若いころに荷風(本家の当主)を奪い合った恋敵でした!
本家と元祖は商売でもライバルどうしですが、元祖は思い切った設備投資によって業績が拡大し、一方、本家はジリ貧状態になっていました。ある日、主力銀行から両党首に対して元祖の生産能力を活用して利益体質を高めるために本家と元祖を経営統合することが融資継続の条件だと通告されます。
「元祖対本家」は長編TSエンターテインメント小説です。
これは性転のへきれきTS文庫、日英TS文庫、その他の桜沢ゆうの出版物を紹介するHPと桜沢ゆうのブログを兼ねたサイトです。桜沢ゆうは千葉県在住の作家で、1997年に処女作「性転のへきれき(ひろみの場合)」を出版して以来創作活動を続けており、数多くのロマンス小説、ファンタジー小説、サスペンス小説、ソフトSF小説などを出版しています。作品の多くは性同一性障害、性転換のテーマを扱っています。小説の分類としてはTS小説が多く、その他は純文学となります。