新作「Covid-MTF:男が女性化するパンデミック」

桜沢ゆう「Covid-MTF:男が女性化するパンデミック」新作出版のご案内です。

新型コロナ肺炎が変異種を含めてワクチンにより制圧されて間もない近未来を舞台としたバイオ系の社会派SF小説です。Covid-MTFの名前が示す通り、男性を女性化するコロナウィルスによるパンデミックが全世界を混乱に陥れます。

この小説を書こうと思い立ったのは、星新一賞の入賞者が決まったという記事を読んだのがきっかけでした。星新一のショートショートは学生時代に夢中で読みましたが、星新一は生涯で1000以上の作品を残したとのことです。没後16年経った2013年に日経新聞が「星新一賞」を創設し、その後毎年コンテストが開催されています。

星新一賞の応募規定は「1万文字以内」であり、元々私には無縁の分野でした。私の小説の書き方については「原作開発プロジェクトコンテスト受賞作家が明かす売れる小説の書き方」でも説明しているのですが、基本的に1章を約1万文字として、章を積み重ねることで長編小説を構築しているので、1万文字で完結する小説を書くのは自分には無理だと思っていました。

しかし、1万文字ならその気になれば1日で書ける文字数だから楽だし、いい小説が出来れば来年の星新一賞に応募可能なので、一度ショートショートを書いてみようと思い立ちました。

星新一賞ということはSF、私が得意なSFならバイオ、最近は新型コロナ肺炎関連の小説ばかり書いてきたので、コロナウィールスが変異した新たなパンデミックのSFにしようということになりました。

桜沢ゆうのショートショートということは当然性別の変更が絡むわけですが、MTFだけではつまらないので、FTM、無性化の新型コロナ変異3~4部作を書くのが効率的だと思いつきました。

Covid-ME:MEはMale Eradication、すなわち男だけに感染して死滅するパンデミックです。
Covid-MTF:文字通り、男だけに感染して女性化させる変異種です。
Covid-FTM:女が男性化して、男性だけの世界になる変異種です。
Covid-NEUTER:全人類が中性化してしまいます。

私にとって一番書きやすいのはCovid-MTFだろうということで、まずCovid-MTFのショートショートを書くことにしました。

感染してあっという間に全男性人口が女性化してしまえば「女性だけの地球」が出来上がるわけで、面白くもなんともなくなる気がしました。やはり、性別が変わる過程を大事にすることと、男女各々の心の揺らぎや交流を描きたいと思い、色々計算した結果、1年間に全人口の0.5%、すなわち男性の1%が徐々に女性化するという設定にしました。18歳の男性が100人居るとすると、27年間のうちに少数ずつ女性化し、45歳になるまでに77~78%が女性になる計算です。「自分はいつ女性化するのだろうか」とドキドキしながら生きていき、22~23%は男性のままで一生を送ることになるので、そのぐらいが一番面白いかなと考えたわけです。

そのような感染症が実際に勃発した場合には日本の社会にどんな変化が起きるだろうかと真剣に考えると、一筋縄ではいかないことを段々実感しました。全人口の1%の発症でも、性別の認識や役割に大変革が起きるということが分かってきました。

様々な社会的変化を文章にしていくと、報告書のような文書になりました。変化は非常に多岐にわたるので、報告書形式で羅列的に網羅すると、それだけで1万文字近くになりそうでした。途中まで書いたところで読んでみると(書いた本人は頭の中で何倍にも膨らむのでそこそこ楽しめるのですが)他人には分かりにくくて読む気がしない文章だと感じました。

そこで、全体の流れを損なわないようにダイアローグ部分を挿入したり、エピソードを加えていくと、結局約3万文字超の中編になりました。

性別の変化というものは「男が女になりました、オシマイ」では済まず、さまざまな葛藤や社会的な問題が絡むのだということを書いていて再認識した次第です。

本書は久々の横書き小説です。主題のCovid-MTFが横文字であり、ショートショートが発想の原点なので縦書きにはそぐわないと思ったのです。本書のフォーマットは日英TS文庫の原書で使っているCSSを適用しましたので、目新しい雰囲気の本になっています。

性転のへきれきシリーズの小説の価格設定は長編(基本的に10万文字以上)が980円、中編(4~9万文字)が590円となっていますが、本書は異例の短さの中編(3万文字)となったので、290円とさせていただきました。


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