突然の性転換 「性転のへきれき」 ひろみの場合 第2版 | 性転のへきれき

突然の性転換 「性転のへきれき」 ひろみの場合 第2版

01_ひろみの場合桜沢ゆうの「性転のへきれき」シリーズ「ひろみの場合(突然の性転換)」です。

第1部は痔の手術を受ける予定の男子大学生が、性転換手術の患者と取り違えられて性転換されてしまうという奇想天外なお話しでした。同じ病院で性転換手術を受ける予定だった患者が手術の直前に怖くなって病院を逃げ出したために起きてしまった「取り違え性転換」だったのです。

第2部の主人公は性転換手術の前に逃げ出した張本人です。何故逃げ出すことになったのか、取り違え事故がどのように起きたのか、じっくりお読みください。

性転換を本気で考えている方にとっては「カミングアウト」が大きな関門です。特にご両親が問題です。息子が性転換して女になりたいと聞いた親はビックリ仰天して取り乱すのが普通です。そんなショックを和らげるためには、緻密なシナリオを考えて準備万端にしてから、ベストタイミングでカミングアウトすることが大事です。一歩間違えると、第2部第2章「最悪のカミングアウト」のような、大変なことになってしまうのです。

さて、自分の意志とは無関係に間違って性転換させられた普通の男子大学生と、必死にアルバイトをして貯めたお金で性転換手術を受けようとしながら、手術直前に怖くなって逃げ出した男子大学生の二人のうち、どちらが幸せになるのでしょうか。



性転のへきれき ひろみの場合 第2版

突然の性転換

まえがき

性転のへきれき「ひろみの場合」は1997年にオンライン出版された性転換小説です。

今回2015年にAmazonで出版する「ひろみの場合」は、初版を第1部として、第2部が追加され、2倍余りの長さになった第2版です。

実は初版の公開時点では既に第2部は半分以上書き進んでおり、書き終え次第、ひろみの場合の続編として出版する予定でした。

ところが、並行して書いていた「かおりの場合」が先に完成してしまい、ひろみの場合の続編は日の目を見ないまま、十数年もの間眠っていたのです。

第1部は痔の手術を受けるつもりだった主人公が、性転換手術の患者と取り違えられて性転換されてしまうというお話しです。

第2部は性転換手術の直前に怖くなって病院を逃げ出し、取り違えの原因を作った張本人に関するお話です。

自分の意志とは無関係に間違って性転換させられた普通の男子大学生と、必死にアルバイトをして貯めたお金で性転換手術を受けようとしながら、手術直前に怖くなって逃げ出した男子大学生の二人のうち、どちらが幸せになるのでしょうか。

性転換手術で女性になり結婚してくれる男性も現れた場合、子供を授かるにはどうすればよいのでしょうか。そんなことを考えながら読まれれば、お楽しみいただけると思います。

 

第2部 広海の場合

第1章 ひろみと広海

「今日が最後の夜なんだ。」

その日の午後、4人部屋から個室に移された山下広海は、消灯後の病室で最後の夜をひとりで過ごしていた。カーテンの間から入ってくる僅かな月明かりが天井の凹凸を不気味に際立たせ、広海の不安を増幅した。

同室の高齢男性患者3人に別れを告げて4人部屋を出た時、二度と男子の病室には帰れなくなる自分の運命をひしひしと実感した。

そんな広海の不安を看護師が察知して言った。

「明日の手術が終わったら個室に戻るけど、数日したらまた4人部屋に移ることになるわ。勿論、4人部屋と言っても別の世界だけど。」

広海は天井の陰影を見ていると焦燥感が高まって、ブルブルっと頭を横に振って目を閉じた。

「とうとうその日が来てしまった。明日の午後、僕は女になるのか。」

広海が子供の時からずっと望んでいたことが、ついに明日実現する。父母姉が外出している日に、姉が学校から帰るまでの1時間ほどの間に姉の制服のスカートをはいて自分を慰めた中学1年のころの思い出が頭に浮かんできた。

中学になって髭がうっすらと生え、声変わりし始めた時、広海は自分の運命に絶望し、この世から消えてしまいたいと思った。毎晩、ベッドの横に跪いて手を組んで神様に祈った。

「どうか僕を早く女の子にしてください。」

どの神様に祈っているのか、広海は特定していなかったが、とにかく全能の神に心からの祈りをささげ続けた。でも、神様が広海の祈りを本気で取り上げてくれることはなかった。

いや、少しは祈りが届いたのかも知れない。広海の身長は両親の期待に反して中学2年ごろで頭打ちになり、高校3年になっても163センチしかなかった。細身でしなやかな、体毛の少ない身体と、母親似の女性的な顔は、神様が可能な範囲で広海の願いに配慮した結果なのかも知れなかった。

「女になりたければ自分の力でなりなさい、というのが神様の答えなんだ。」
と広海は思った。

静岡出身の広海は東京の大学に進み、アパートでの一人暮らしが始まった。

広海は1年の春からアルバイトに精を出して、女になるためのお金を貯めた。夏休みも冬休みも実家には少し顔を出した程度で、東京でアルバイトに励んだ。

2年が始まる前の春休みには帰省したが、2年の夏休みは両親や姉の前に姿を現すことができない体になってしまっていた。インターネットでインドの医薬品業者から女性ホルモンを購入し、1年の夏から飲み始めていたので、2年の5~6月ごろTシャツを着始めるころには、Bカップになった胸を隠すことは不可能になっていた。

髪も肩まで伸び、女性ホルモンで丸みを帯びた広海の身体は、女にしか見えなくなっていた。大規模な私立大学なので広海の性別について正確に認識している学生はごく一握りであり、それ以外の人から見ると、広海はボーイッシュな服装の好きな女子学生と認識されることが多かった。

親しい友人も、広海はいずれ性転換するのだろうと勝手に推測していた。

スカートをはかなくても女性に見えるようになってしまったのは、広海にとって非常に不便なことだった。男子トイレに入ろうとすると、「ここは男子トイレだよ」と指摘されるか、変態を見るような目つきで顔をしかめられた。かといって女子トイレに入ることは、万一見とがめられると犯罪者扱いされかねないので、とても踏み切れなかった。

バイト先のファミレスでは女性と思われているのでトイレの心配はない。初日に店長から「君に男性の格好でフロアに立たれると変態と思われるから」と言われ、女子の制服を渡された。男性であることは他の従業員に隠すように命令され、仕方なく従った。

大学では出来るだけ水分を取らないようにして、あまりトイレに行かなくて済む体質になってきた。でも、気温が下がる日に薄着で登校してしまった時には、どうしてもトイレが我慢できなくなり、「おい、女子トイレはあっちだよ」という声を背中に受けながら男子トイレの個室に走り込んだこともある。

夏には20才になり、必要な額の貯金もたまったので、以前性転換手術に定評のある女子医大のHPに出ているドクターのエッセイで読んだ大月病院の門をくぐったのだった。

明日からはトイレで悩む心配はない。女子トイレにしか行けなくなるのだから。

ベッドの中で、パンツを下にずらし、明日消えてなくなるはずの小片を握った。

「もうオナニーはできなくなるんだ。」

広海が今年射精したのは1回だけだ。アパートの部屋でエッチな漫画を読んでいて、突然股間が固くなった時に、必死でしごき、射精にこぎつけることができた。高校生の頃はすこしエッチな妄想をするだけで簡単に射精できたのだが、女性ホルモンを始めてしばらくすると、固くなってもすぐ萎えてしまうようになり、だんだん射精が困難になった。

広海はベッドの中で、考えられる限り最もエッチな想像をして、必死で股間を固くしようと努力を繰り返した。広海にとって最もエッチな想像とは、「お前は今日から女の子だ」と決めつけられて、無理やりスカートをはかされて学校に行き、背の高い男性から抱きしめられキスされる、というものだった。

女性ホルモンを始めて、すぐ萎えるようになっても、そのパターンの空想をすると、なんとか射精まで持つことがあった。

でも、今夜に限っては、そんな最もエッチな空想をしながらしごいても、広海の手の中の肉棒はすぐにフニャフニャになってしまった。明日女性になるという厳然とした事実が頭の中を占拠しており、スカートをはかされて学校に行かされるというシチュエーションは、今となっては妄想ですらなく、なんの興奮ももたらさない当たり前のことなのだ。

最後の思い出の為に、時々少しだけ固くなりかける小片と必死で格闘したが、1時間余り無駄な努力をつづけた結果、皮膚がヒリヒリしてきて、結局オナニーは諦めるほかなかった。もう、広海は、男性とは言えない体になってしまっていた。

翌朝、手術の日は、6時半に目が覚め、回診の後で看護師に股間を完全に剃毛された。

「この要らないものは午後にはなくなって真っ平になるわよ。よかったわね。」

広海の小さな芋虫を指先でつまみながら看護師が冗談っぽく言った。

「手術の前にメールをチェックしておきたいんですけど、スマホの電池が切れちゃって、ネットにつながったパソコンで使わせてもらえるものはないですか?」

「ええと、隣の部屋のパソコンなら使っていいわよ。あのパソコンならインターネットなら見られるけどメールはどうかな。」

「普段はGMAILをIPHONEで使っているので、パソコンでウェブメールを見るから大丈夫です。」

「ああそうなの。じゃあ、こちらにいらっしゃい。この部屋を次の患者さんの為に準備できるから丁度都合がいいわ。」
と言って、看護師は広海を隣の部屋に通した。

手術は2時半からなので、自分が男性でいられるのはあと1時間半しかない。男性としてメールを見るのは、これが最後になるんだな、と思うと気が焦った。

母からのメールが入っていた。
「来週の土曜日に東京で同窓会があるので、金曜日の夜から日曜日まで広海のアパートに泊めてね。」

大月先生から、退院のめどは手術後10日目と聞いていたから、来週の日曜日ごろの退院ということになる。

「ごめん、来週は金曜の夜から部活で合宿に行くからアパートには居ません。」
と返信しておいた。

両親と姉に手術のことは知らせていない。広海が子供のころから抱えていた「病気」については、両親も姉も想像すらしていないだろう。広海は手術して一段楽してから、女性になった姿を両親と姉に見せるために帰省するつもりだった。

広海の入院中に母にアパートの部屋を勝手に使ってもらうという選択肢もあるが、広海の部屋にはファミレスの制服がかかっている。

ファミレスの制服はウォッシャブルのワンピースが2着支給されていて、自分で洗濯するようになっていた。

母が来ることが分かっていれば部屋を片付けておいたのだが、もう間に合わない。母は部屋にファミレスのワンピースが掛かっているのを見たら、驚き、心配するに違いない。広海が着るものとは思わず、同棲している女性の服だと思いこむ可能性が高い。

「でも、女性になって帰省する時には、お母さんの驚きはその程度じゃすまないんだろうな。」

両親には、手術する前に打ち明けておくべきだった、と後悔の気持ちが高まってきた。勿論、両親は「とんでもない」と言って、手術を断固阻止しようとするだろう。膨らんでしまった胸も手術で平らにしろと言い出すかもしれない。そうなると、自分は一生苦しみ続けることになる。やはり、事前に相談するという選択肢はありえなかったのだ。

母からメールの返信が届いた。

「金曜の晩からいないのね。久しぶりに顔を見たいから木曜日に行くわ。よろしく。」

困った。自分の方からも、木曜日にもいないという返信をしなくちゃならない。でも、母は敏感だから、様子がおかしいことを察知するに違いない。どうしよう。

焦る気持ちが高まってくるにつれて、両親に秘密で手術を受けることに対する後悔の念がつのる。そうだ、せめて「告知」しよう。手術のことを、とにかく事前に知らせておけば少しは罪も軽くなる。

広海は母あてに「お父さんにも見せてください」と前置きして、長い返信を書いた。病院長をしている父は広海にとって怖い存在であり、こんなことに関して直接相談するのは無理だ。広海は母親へのメールに、子供の時から自分を苦しめてきた「病気」について詳しく説明し、アルバイトをしてお金を貯めて、今日、性転換手術を受けることになったということ、そして退院後できるだけ早く帰省してお詫びします、と結んだ。

GMAILの送信ボタンを押して、すぐにウェブメールからログアウトした。このメールに対する母の返信は手術後にしか見る勇気がない。

「そうだ、手術の予習をしておこう。」

気を紛らわせようと自分に言い聞かせ、YouTubeで性転換、去勢、膣形成などのキーワードで検索したところ、実際にメスを入れて手術する動画がいくつかヒットした。

一番初めに見たのは、去勢手術の様子を記録した5分ほどの動画だった。陰嚢の裏側にメスを入れる生々しい様子を見て、吐き気を催し、同時に恐怖を覚えた。2本目の動画で膣形成のために穴を穿つ光景を見ると、寒気がして、全身がブルブル震えてきた。

「無理だ、こんな風に身体を切り刻まれるなんて耐えられない。」

声には出なかったが、広海の叫びは、全ての理性を押し潰すほどの叫びだった。母親の顔が頭に浮かび、広海は「逃げよう」と思い立った。広海の鞄は個室を出る際に看護師がこの部屋に持ってきていたので、広海は鞄から取り出したジャージに着替え、鞄を持って、廊下に人がいないのを確かめてから、非常口から外に走り出た。

 


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