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性転のへきれきシリーズ新作「真逆の世界から来た女」

性転のへきれきシリーズの新作「真逆の世界から来た女」が出版されました。桜沢ゆうが初めて書いたミステリー小説です。一応リアル系TSエンターテインメント小説ですが、SF小説と考えるか、そうではないと考えるかは読者の方の判断次第です。

主人公は大学三年の男子学生、里川柚葉です。ある日、柚葉のGoogleアカウントに不正アクセスがあったことがGoogleからの警告メールで判明し、柚葉はGmailのパスワードを変更しますが、友人の梨歩が柚葉そっくりの人物と女子トイレで遭遇したり、柚葉のアパートの郵便受けの中が覗かれたりと、不審な出来事が起きます。

柚葉は梨歩と康太に協力を依頼して、不審な人物を挟み撃ちにするという計画を実行します。

捕まえてビックリ、その人物は「僕の名前は里川柚葉です」と名乗りました。そしてその人物は柚葉そっくりの女性だったのです。



真逆の世界から来た女

by 桜沢ゆう

第一章 僕とそっくりの女

 五月十一日、木曜日の大学からの帰り道、歩きスマホでメールをチェックした。今朝グーグルから警告メールが届いていたことに気づいた。

「お使いのアカウントがiPhoneでのログインに使用されました。このアクティビティに心当たりがありますか? 最近使用した端末を今すぐ確認してください。グーグルではセキュリティを非常に重視しています。このメールは、お使いのアカウントで行われた重要な操作に関する最新情報をお伝えするために送信しています」

 問題のログイン日時は今日の午前六時五十七分となっていた。

 僕のスマホはアンドロイドだ。誰かがiPhoneを使って僕のアカウントにログインしたということになる。Gメールのパスワードは他のサイトでもパスワードとして使用しているから、そこから漏れたのかもしれない……。

 アパートに帰って、ノートパソコンからGメールのパスワードを変更した。Gメールのパスワードはグーグル・ドライブとも共通だ。重要な個人情報は全てグーグル・ドライブに入れてあるから慎重を期さねばならない。それにしても異常なアクセスについて自動的に通知してくれるグーグルのサービスはありがたいものだ。ひとまずほっとして、それ以上、気には留めずにいた。

***

 火曜日の朝、大学へと向かう道で、誰かに見られているような気がした。何度か立ち止まって周囲を見回したが、特に異常は見当たらなかった。

 それは奇妙な感覚だった。突き刺すような視線ではないが、身体の中まで透視されるような視線を感じた。異性から横顔を見られるときの感覚に似ている。ストーカー? まさか、僕はストーカーに追い回されるほどの人気者ではない。丹念に周囲を見回したが、怪しい人影は皆無だった。

 二時限目が終わって、いつものように学食で清水康太、若林梨歩とおしゃべりした。康太と梨歩は入学して以来の仲間だ。

 梨歩が突然僕に思いもかけない質問をした。

「{柚葉|ゆずは}って変な趣味ある?」

「何だよ、いきなり」

「昨日の夕方、アタシが浅草橋駅の女子トイレで手を洗っているのをじっと見ていなかった?」

「バカな! 僕が女子トイレを外から覗き込んでいたと言うの?」

「それならまだマシだけど、トイレの中から見ていたのよ。アタシの斜め後ろに立って、鏡の中のアタシの顔をじっと見ていたの」

「変な趣味どころか、その男がしたことは犯罪だよ」

「それが、女みたいだったのよ。アタシと視線が合ったらすぐ顔をそむけて、個室に入った。アタシ、急いでいたからそれっきりになったけど」

「要するに、トイレで僕そっくりの女性と会ったということだね。それならそうと言ってくれよ。他人が聞いたら、僕が変態だと疑うような言い方をしないで欲しいな」

「双子の姉妹は居ない?」

「三つ上の姉と二つ下の妹がいるけど、二人とも母似で僕だけは父似だから、ちっとも似ていないし、姉と妹の方がずっと背が高いんだ。並んでいても家族だとは分からないぐらいだ」

「本当に変なのよね。顔と身体つき、それに雰囲気が柚葉と生き写しなんだけど、その人には確かにお乳があった。一番不自然なのは服装が柚葉そっくりだったということよ。男物のカーキ色のコットンパンツにボーダー柄のポロシャツ。超ダサイ組み合わせでしょう?」

「ふん、悪かったね。つまり僕そっくりの女が、僕の超ダサイ服の組み合わせで、梨歩を女子トイレまで追いかけたってことか。もう少し現実性のある話をしてくれないと、面白くないね」

「作り話なんかじゃないわよ。本当にその女の人に会ったんだから」

「じゃあ、今度見かけたら、僕が会いたがっていたと伝えといてくれ」

 午後の講義を受けている時も、梨歩の話が頭から消えなかった。梨歩は血液型がAで真面目なタイプだ。僕そっくりの女性と遭遇したという程度の作り話をする可能性はあるが、会った場所が女子トイレで、しかも僕の服装で梨歩がダサイと考えていた組み合わせの男装をしていたというのは、作り話としてはセンスがなさすぎる。梨歩は基本的に僕に対して好意を抱いてくれていると思うから、変なことを言うはずがない。いつも清水康太と三人で一緒に行動していなければ、梨歩と僕は将来の結婚を意識して付き合う関係になっていたと思う。

 大学からの帰り道、僕は何度も立ち止まり、カーキ色のコットンパンツにボーダー柄のポロシャツで男装した女性が居ないかと周囲を見回した。勿論、そんな人物に遭遇することはなく、スーパーで買い物をしてからアパートに帰った。

 その時、アパートの玄関の左横にある郵便受けの裏側から、僕に気づいたらしい怪しい人影が背を屈めるようにして僕の横をすり抜けて逃げて行った。一瞬なので顔は見えなかったが、それは梨歩が見た不審人物に間違いないと直感した。カーキ色のコットンパンツにボーダー柄のポロシャツを着ていたからだ。

「待てーっ!」

 僕は一瞬遅れて、その人物の後を追いかけた。後姿は中性的な細身で、僕より少し長い程度のショートヘアだったが、確かに女性だった。足がとても速く、スーパーの買い物袋を持っていた僕はあっという間に離されてしまった。

 追跡は諦めて、郵便受けから不動産のビラ二枚、封書二通とハガキを取ってエレベーターに乗った。あの女が僕の郵便受けの中をチェックしたのは間違いない。というのは、不動産のビラと郵便物がきれいに揃った状態で入っていたからだ。普段、郵便物が揃った状態で入っていることはあっても、ビラも一緒に揃えられていることはない。

 部屋に入り、タンスの中にカーキ色のコットンパンツとボーダー柄のポロシャツが入っていることを確認した。あの女は少なくとも僕の服を盗んだのではなかった。

 僕そっくりの顔と身体つきの女性が、どんな目的で僕そっくりの服装をしているのか、それもどうしてよりによってダサイ服を選んだのか、全くの謎だった。シャレや冗談でやっているのなら、今日、逃げはしなかったはずだ。

 皆目見当がつかなかった。

***

 翌日、康太、梨歩と連絡を取り、一時限目の後に学食で会った。僕は昨日の怪事件について二人に話した。

「ほら、アタシがウソを言っていなかったことが分かったでしょう?」

「ごめん。顔はよく見えなかったけど、あの服装には度肝を抜かれたよ。若い女性があんな服を着るのは常識外れというか、不気味だった」

「若い男性が着ていても、結構不気味なのよね……」

「逃げていく後姿は、一見精悍そうに見えて、ヘナヘナした感じだったし、腰からお尻が中性的だった」

「今度柚葉の後姿を動画に撮って見せてあげるけど、それはまさに柚葉の後姿と同じよ」

「もう少し真剣に心配してほしいな」

「とにかくその女を捕まえましょうよ」

「そうだな、どこかで待ち伏せしよう。やっぱり柚葉のアパートの周辺で待つのがいいんじゃないかな」
と康太が提案して、三人で作戦を練った。

「分かっている事実をリストアップしよう。一昨日、僕のグーグル・アカウントに不正アクセスがあった。一昨日の夕方には、梨歩が浅草橋の女子トイレでその女に後ろから見られていた。昨日の朝、僕はずっと誰かにつけられている感じがあった。そして昨日の夕方、僕のアパートの郵便受けをその女が探り、僕を見ると逃げた」

「その女は柚葉と顔がそっくりで、身長、体格も酷似している。双子の兄妹でDNAがそっくりなら、性別が違うからその女は小柄なはずよ。柚葉は男なのに百六十三センチしかないから、女だったら百五十二、三センチになるんじゃない?」

「なるほど、一理あるな。じゃあ、こう考えればどうだろう。柚葉の双子の弟が、背が伸びた後で性転換して女性になった」

「飛躍しすぎだよ。僕は双子じゃない」

「何か深いわけがあって、ご両親が双子の弟を里子に出したのかもしれないわよ」

「そんなことを言われると心配になるじゃないか。念のためにお母さんに電話で聞いてみるよ」

「柚葉のお母さんが正直に答えるとは思えないわ。ところで、その女は郵便受けの中身を覗いただけで、郵便物を開封したり盗んだりはしていないということよね?」

「多分ね」

「柚葉のことを探っている女が、アタシをつけてトイレに来たということは、柚葉の交友関係を把握してるってことだわ。顔を見てアタシと認識できるほど、ちゃんと調べあげている。プロの探偵じゃないとそこまでは調べられないものよ。ということは、アタシの次は康太の後をつける可能性があるんじゃないかな?」

「その可能性はあるね。康太じゃなくて、もう一度僕の後をつける可能性も高い」

「じゃあ、その女をおびき寄せるためには、柚葉と康太が一緒に歩くのが一番ね。アタシが変装をして、周囲にあの女が隠れていないかどうかを確かめながら後をつける」

「さすが梨歩、頭いいな!」
 僕と康太は声を合わせて絶賛した。

「大学から柚葉のアパートに向かって歩くのが、女をおびき寄せられる可能性が高いと思うわ。柚葉の通学路は把握しているでしょうから」

「じゃあこうしよう。今夜、僕のアパートで一緒にすきやきをしよう。僕と康太はここで三時に集合して僕のアパートに向かう。途中のスーパーで肉と野菜を買って、女が後をつけやすいようにブラブラと帰ろう。梨歩は少し離れた所から僕たちの後をつけてくれ」

「その案には一点だけ難があるわ。アタシ、ダイエットしているから、すきやきじゃなくて、キムチ鍋にしてほしい」

「分かった、キムチ鍋で手を打とう」
と僕が宣言してひとまず散会した。

***

 僕は午後三時少し前に学食で康太と合流した。

「梨歩の姿が見えないけど、遅れているのかな?」

「俺たちが見ても分からないほどの変装をしてるんじゃないか?」

「そうそう、男装してたりして」

「あたりをキョロキョロ見回していると、その女が警戒して近寄らないぞ」

「そうだな。梨歩は遅れて来たとしても僕たちが通る道は分っているから、気にせずに行こうよ」

 僕と康太は午後三時五分に学食を出た。

 太陽は天頂を過ぎて暖かい日差しが背中を心地よくする。午後の歩道を康太と並んで歩いた。

「何もかもが思い過ごしってわけじゃないだろうな? この世界には自分と似た人が三人いると言われる。たまたま柚葉と似た女性が梨歩と同じトイレに行ったり、柚葉のアパートの周辺を歩いていただけかもしれない」

「僕と同じ『超ダサイ』服装でか? それは確率的にあり得ない。単に僕と似た女性ならどこかにいるかもしれないけど」

「柚葉、後ろを振り向かずに聞け。俺が今柚葉を見た時、左斜め後ろの塀の陰にサングラスをかけた不審な女が見えた。真っ赤なミニスカートで野球帽をかぶっていた。きっとあいつがそうだ」

「真っ赤なミニスカートに野球帽、しかもサングラスか……。怪しすぎる」

「お互い、気付いていないふりをして歩こうぜ」

 緊張して鼓動が高まる。それでも、前を向いてつまらない冗談を言いながら歩く。

 角を左折して行きつけのスーパーへと向かった。曲がる際にさりげなく左後方に視線を走らせたが、人影は目に入らなかった。

「キムチ鍋ということは、白菜とキムチだな。大根、シイタケ、シメジ。ニンニクも買おう」
と僕は野菜類をバスケットに入れた。

「梨歩も一緒だからニンニクは控えようよ」
 そんな気遣いは康太らしくないと思った。

「別にいいじゃないか。キスさせてくれるわけじゃないんだから」

「にんにくを入れるよりは、キムチの大きいパックを買えば同じことだよ。小松菜が今日のセールで安いから小松菜も入れよう。量を増やしたいから、もやしを二パック買おう」

「康太って主婦みたいだな」

「豚肉のバラ肉でいいのかな? 安いから多めに買おうか?」
と言って、康太は豚バラ肉の大きいパックを二つ、ドサッとバスケットに入れた。

「見えたぞ! ふた筋向こうから野球帽でサングラスの女が僕たちを見ている。僕たちが気づいたことが分かったら逃げるだろうから、知らんふりをしよう」

「そうだな。スーパーを出たところで捕まえようか」

「捕まえるって? 手や肩を掴んで、痴漢だと言って騒がれたらどうするんだ? どこかに追い詰めて話を聞くしかない」

「やりにくいな……」

 僕たちはレジに並んだ。僕たちの番になってレジをしている時に、野球帽にサングラスの女が店の出口から外に出ていくのが見えた。

「今、外に出たぞ」

「ああ、俺も見たよ。とにかく気づかないフリを続けよう。柚葉のアパートの郵便受けエリアに誘い込んで挟み撃ちにしたら確保できるんだが」

「とにかく女の体を触らないように注意しよう。男二人が知らない女性を挟み撃ちにするのは非常にまずいからな」

 買ったものを二つに分けてスーパーのビニール袋に入れた。僕のアパートまでは徒歩で二、三分の距離だ。

 数十メートル先の物陰からあの女が突然姿を現し、僕のアパートを目指して駆けて行った。

「見たか?」

「うん、見た。追いかけよう」
 僕たちはアパートに向かって走った。買い物袋を提げているので思うようには走れないが、必死で走った。

 僕のアパートの入り口が視界に入ったのは、ちょうど野球帽にサングラスの女がアパートの中へと駆け込んだ時だった。

 まもなく、康太と僕はアパートの入り口に着いた。中からあの女が出てきたら行く手を遮ることができるように横に並んで入っていった。

 その時、郵便受けのある奥まった場所から走り出て来たのは、カーキ色の綿パンにボーダー柄のポロシャツという男装をした女だった。

「捕まえて!」
 奥から梨歩の声がした。女は僕たちを見て後ずさった。

 野球帽にサングラスのミニスカートの女性がその女の後方から出てきて体当たりし、よろめいた女に駆け寄って右手にガチャリと手錠をかけた。

「確保!」
と叫んだ声で、サングラスの女が梨歩だったことが分かった。

「刑事か!」
と、僕と康太が同時に叫んだ。

 梨歩が手錠を持っているとは予想外だった。

「何をするんだ、お前ら!」
と、男装の女が、男性のような口調で叫んだ。

「ご存知と思いますが、僕は里山柚葉です。こちらは清水康太、野球帽の女性は若林梨歩です。あなたはどなたですか?」

 三十秒ほどの重い沈黙があった。梨歩は手錠が掛かっていない右手で野球帽を脱ぎ、サングラスを外して男装の女を睨みつけた。

「僕の名前も里山柚葉です」
と男装の女が僕を直視してはっきりとした口調で言った。もしちゃらちゃらとした口調でそんなことを言っていたら、三人で詰め寄って、それ以上の冗談は言わせなかっただろう。しかし、男装の女の表情と態度には、いい加減な対応を許さない何かがあった。


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日本独立作家同盟と神楽坂らせん著「秀丸で傑作を書く」がおすすめ

る私は日本独立作家同盟というGoogle+のコミュニティーに参加しています。日本独立作家同盟は鷹野 凌氏が理事長のNPOで、 Google+にはセルフパブリッシング(自己出版)などの情報交換や交流を行うためのコミュニティがあります。私のような作家だけでなくこれから小説を書いて出版してみたいと考えている方にとって役に立つ情報が満載されていますので、出版(特に電子出版)に興味のある方は一度覗いてみてください。

私のGoogle+のページはほぼ日本独立作家同盟への投稿で埋まっています。以下のリンクをクリックして私のページをご覧ください。

https://plus.google.com/u/0/104677102373499631640

小説を書くにはワープロ、エディターまたはアウトラインプロセッサーが必要です。私は性転のへきれきシリーズを書くのにNanaTreeというアウトラインプロセッサーを使用していましたが、GoogleDrive上のファイルをNanaTreeで編集すると時々フリーズすることがあり、何時間もかけて書いた原稿が昇天してしまうという苦い経験が少なくとも二度ありました。

この二、三日の間に日本独立作家同盟のGoogle+上のコミュニティーで悩みを相談したところ、まさに私が知りたかった解決策を示していただくことができました。詳しくは上記のリンクから日本独立作家同盟の投稿をお読みください。

秀丸というテキスト・エディターをご存知でしょうか?秀丸はシェアウェアですが私は十数年前に4000円を払って使い続けています。今回、日本独立作家同盟のコミュニティーで神楽坂らせんさんから直々に教えていただき、秀丸を安定なアウトラインプロセッサーとして使用できる目途が立ちました。神楽坂らせんさんの著書「秀丸で傑作を書く!!➁正規表現&アウトライン篇」は非常に良い本だと思いますので、電子出版を考えておられる方にお勧めします。


性転換・TS小説サイト・関連サイトのリンク集

TS小説サイト・関連サイトが増加しているようなので、TSサイトのカタログ(リンク集)を作り直そうと作業を始めたらさあ大変!軽く300以上ありました。いきなり全部のリンクを掲載したところGoogleから警告が届きました。アダルト動画サイトやその筋のリンクが多いサイトに対してのリンクを掲載すると警告が来るようです。チェックしてはひとつひとつリンクを増やしていこうと思いますが何分件数が多いのでいつになるやら・・・。

  1. 性転のへきれき 1997年に初めて20年になるTS小説の老舗サイトです。日本語約50作品英語約60作品のTS小説をAmazonで出版しています。2003年の終わりから2014年まで新作の出版が休止されていましたがサイト自体は維持されていました。2014年終わりから本格的に再開されました。2017に「採用面接」が、よしもと+Amazon 原作開発プロジェクトの優秀賞を受賞しました。

  2. 性転換を題材にしたミステリーを書いてみまし 週2回ほどのペースで新しい章が掲載される千秋さんのサイトです。100冊以上のTS小説が無料で読めます。私も愛読者の一人です。

  3. 間久津明の、ど変態ワールド 少しきわどい内容ですがユニークでリアルなお話が満載されていて、いつ訪れてもドキドキさせられます。桜沢ゆうの人格形成に強いインパクトを与えてしまったサイトです。

  4. 菜々のWeb小説 性転のへきれきを始めたばかりの頃から燦然と輝いていた老舗サイトです。ここを知らない人はモグリという感じでしたが、一時期、ネット検索しても見つからない時期がありました。今は立派なサイトが再開されており、呪縛のプリンセスドール、陵辱の女形、ヴァニシングツインなどの珠玉の作品が掲載されています。

  5. SundayNightRemovers オンライン小説の先駆者の一人、立石洋一さん(前橋梨乃さん)のあまりにも有名なサイトです。8割ほど無料で読めて残りの2割が有料です。2000年前後に売上が100万円を超えたいう記事を新聞の全国版で読んだことを記憶しています。当時私も何冊も購入しました。TS小説というより「女装小説」ですが、当時はTS小説の数が限られていたので、純粋なTSの人たちも愛読していたのではないかと思います。

  6. スザンヌみさき・初級女体化講座 日本のリアルTS人口の間で最も広くサポートされているMTF実践情報サイトだと思います。調査・実践に裏付けられた系統的MTF情報がスザンヌみさきさんのウェブサイト及びYouTubeで発信されています。TS小説サイトではありませんが☆星5つのTS関連サイトとしてこのリンク集に含めました。

  7. 奈落の部屋 奈落さんの小説が満載されています。イメージカプセル・シリーズを初めTS短編を沢山読むことが出来ます。TS-SFショートショートも面白いです。

  8. 鏡と首輪 「鏡と首輪」を含む夕涼さんの小説(2016年4月現在で6作品)の全文が掲載されています。各々7~8万文字でいずれも有料級の作品です。

  9. 喫茶 吾眠 喫茶「吾眠」(アミンと読む)を舞台とした仮想現実世界の中編と短編が数多く掲載されています。「とっと」さんの作品と寄贈作品があります。古くからあるサイトで、一部がTS小説です。

  10. 沙亜矢のMTFワールド TS小説を逐次アップロードし連載している沙亜也さんのサイトで、連載が修了した小説は総集編のサイトで読むことが出来ます。読み応えのある長さの中編小説が数十作品もあります。古くからの著名なサイトです。

  11. 少年少女文庫 少年が少女になるTS小説の投稿サイトで、膨大な数のTSストーリーが掲載されています。系統的にカタログ(あらすじ、コメント、推薦文、カテゴリー等を含む)が整理されているので、探しやすいです。これも老舗TS小説サイトです。

  12. Books Nigeuma 逃げ馬さんのTS小説サイトで2002年に開設され、最近も新たな小説がアップロードされています。

  13. Boy Chage Girl!! TarotaさんのBoyがGirlになる老舗TSF小説サイトで、大半は2000年から2000年代前半の作品です。その後も同人誌でTS作品を出版されています。

  14. TS研究所 2002創設のSatoさんのTS小説サイトで、自己作品は2005年8月発表の「鏡像」までのようです。2007年に(こちらからお願いして)性転のへきれきと相互リンクしていただきましたが、現在もサイトは維持されているようです。

  15. Wind Shear 2002~2003頃の作品が中心のinaxさん(陶器とは無関係)のTS小説サイトです。TSの基本的なアイデアは2000年以前でも今でも同じであり、今も楽しめます。2000年前後からネットでTS小説を読んでいる方々は、(当時は量的に少なかったので)、このリストの上部に書かれているサイトに掲載されている小説は、殆ど読んだと言う人が多いかもしれません。

  16. ライターマンのガラクタ箱 ライターマンさんが上述の少年少女文庫に投稿した作品が中心となったTS小説サイトです。古くからあるサイトですが最近も更新されているようです。

  17. あむぁいおかし製作所 著者「あむぁい」さん(甘ーいと発音)の「男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説」のサイトで、膨大な数の作品が気軽に掲載されています。カラフルなイラストに溢れていて、このサイトだけでも2~3日は過ごせます。

  18. こうけい。オルグ こうけい(公惠の音読み)さんの膨大なTS小説サイトです。2008年ごろまでの作品のようです。

  19. ふんわり行きましょ これは小説サイトではなく、MTF山下容子さんのエッセイ・ブログです。体験記+自画像が中心です。

  20.  風祭文庫 有名な華代ちゃんの館を初めとして(2016年5月2日現在で)1496の物語が収載されている1999年開設の老舗サイトです。年代的には性転のへきれきとほぼ同じですね。

  21. 舞のお部屋 古くからあるサイトです。広告だけのサイトになってしまったように見えましたが、丹念に探すとサイトのコア部分= 舞の性転換手術体験記に辿りつけます。

  22. 女人化研究所 女人化研究所 NEO YouTubeで世界女人化計画 “milda7”というPVが沢山公開されており、漫画が豊富なのが特徴。

  23. 女装・女性化作品フォーラム 女装・女性化作品のまとめサイト。

  24. 男装・男性化作品フォーラム 女子が男子になる作品のまとめサイトですが、MTFのTS要素も絡んでいます。

  25. 真城の城 ご存知の老舗小説サイトです。最近も「ハンターシリーズ」が更新されています。

  26. ノクターンノベル 転移ものを含む男性向けR18官能小説が中心。転生ものなど官能中心でない小説はミッドナイトノベルズに収載されています。

  27. ムーンライトノベルズは女性向けソフト官能小説サイトでBL小説もカバー。

  28. Diary of TS Heroine Crisis “聖なる力を宿したコスチュームに変身し、悪と戦う正義のヒロインをこよなく愛する者のアカウント” コスプレ・ゲーム系

  29. 鏡(IF)の世界のお話 “0たか0”さんが自分の小説、お気に入りの同人作品やサイトの紹介を掲載したブログです。

【相互リンク歓迎】 Googleにアダルトサイトと判定されていないサイトからのリンクを歓迎します。無断でリンクしていただいて結構ですが、性転のへきれきとの関連が深い相互リンクサイト(まじめなTS小説サイト、TS実践サイト)についてはフォント表示を目立たせるなどの工夫をさせて頂きますので、右サイドバーのコンタクトフォームよりご連絡ください。


絵画モデル「性転のへきれき」シリーズ新作

kaiga-modelお待たせしました。性転のへきれきシリーズの新作「絵画モデル」が出版されました。

「絵画モデル」は、画家が描くための素材であり同時に究極的な自己表現が求められる美術モデルの仕事について「性転のへきれき」風に掘り下げた新しい感覚のエンターテインメント作品です。

東京のアパートでひとり暮らししている大学一年生の凛太郎は、夏休みに割の良いバイトの募集を見て応募しました。それは美術モデルの仕事でした。美術モデルの仕事は楽そうに見えたがやってみると大変だった。内面から浸み出たオーラという衣装を身にまとったモデルたち・・・。



絵画モデル

性転のへきれき・シリーズ

by 桜沢ゆう

第一章 モデル

クロッキークラスとデッサンクラスのモデルさんを募集しています。

人物クロッキークラス モデル
第一、三金曜日 午後七時半から午後九時まで

人物デッサンクラス モデル 
第二、四金曜日 午後七時半から午後九時まで 固定ポーズ

  • 自分の美しさ、顔、スタイル、体型などに自信がある方,写真を撮られるのが好きな方、絵あるいは写真に興味がある方の応募をお待ちします。
  • モデル経験のない方も歓迎します。
  • 身長は百六十三センチ以上、百八十七センチまで
  • 年令は十八才から三十七才まで
  • 報酬は時給二千五百円から四千八百円。
  • 交通費は全額支給します。

ご興味のある方は、お名前と連絡先の電話番号、メールアドレスを明記の上、上半身と全身の画像を添付してお送りください。

アトリエ小惑星
http://www.atelier-asteroid/
mail:miyuki@atelier-asteroid.com

***

先月頭に描いていた計画としては、夏休みは帰省して親元でゆっくりする予定だった。四月に東京の大学に入学して四ヶ月目。初めて経験する一人暮らしは快適だった。毎日好きな時間に起きて、気が向くままに授業に出て、学食かどこかで適当に外食して、アパートに帰ってボケーっとしてテレビでも見て寝る。まだ彼女もいないし、べっとりと群がる友達もいないから毎日が自由だ。元々一人になるのは好きだからそれで良いのだが、時々降って湧いたように人恋しさを覚えることがある。実家に帰ればたまには高校時代の友達とワイワイ言うこともできるし、毎日祖母、父、母、姉、妹と同じ屋根の下にいる安心感が懐かしい。

計画が変わったのは六月中旬に祖母が亡くなったからだ。まだ七十二才だった。僕が三月末に東京のアパートに移った時には少し体の調子が悪いというようなことを言っていたが、僕が知らないうちに病状が悪化してあっけなく行ってしまった。母に言わせると僕に隠していたわけでは無いとのことだった。三月に体調が悪いと言っていたのは胆嚢の結石で、全く生死にかかわる病気ではなく、死因は脳の血管が破裂したからだった。

姉からの電話で新幹線に飛び乗り、病院に駆け付けた時には祖母はもうこの世の人では無かった。おばあちゃん子だった僕は家族の中で一番取り乱して大泣きした。心に大きな穴が開いた。簡単に埋められる穴では無かった。告別式が終わって夜行バスで東京に帰った。翌日の講義に出席する必要があったからだ。

高三の秋に失恋した時と同じで、一日中ボオーっとしていた。自分の周囲で何が起きているか、周囲の人が僕に何を話しかけているのか、目や耳には入るし無意識のうちに認識は出来ているのだが、全く頭に残らず、解釈もされずに頭から抜けて行った。五感は働いていても脳の思考領域が活動を停止しているのだ。

七月の最後の講義が終わった時には僕の脳は普通の状態に戻っていたと思うが、祖母のいない家に帰るのが怖かった。祖母のいない食卓で父母姉妹と普通に会話できるかどうか自信が無かった。高校時代の仲間に会っても、祖母を亡くした僕が何も起きなかったかのようにワイワイと騒げるとは思えなかった。だから夏休みは東京で過ごすことにしたのだ。

アルバイトをしなくても何とか生活できるだけの仕送りをしてくれていたが、六月の新幹線代も懐に響いたので、何か軽いバイトでもしてみようかなと思っていたところだった。大学の友人の中には大学生か働き者のフリーターか分からないほどバイトに明け暮れている人もいた。大手飲食チェーンで定常的にバイトをしている人の話を聞くと相当大変そうだ。身体がシンドイだけでなく、店長からの締め付けや意地悪な上司、無責任なバイトの同僚から受ける精神的ダメージの方が応えるらしい。「この不条理を乗り越えることが将来の自分の力になる。」と友人が言うのを聞いて凄いなと圧倒された。僕には無理だ。

そんな時に目に入ったのがこの募集広告だった。午後七時半から午後九時までという点が真っ先に目を引いた。テレビで二時間物のサスペンスを見るよりも短い時間だし、その時間帯なら夏休みが終わってからも継続できる。行ってみて万一多少気乗りしない仕事であることが分かったとしても、僕だって一時間半ぐらいは我慢出来るだろう。

そして何よりも時間給の高さが魅力だ。時給八百円のバイトを五時間してヘトヘトにならなくても、一時間半立っているだけで同じバイト代が入る。美人女子なら親に内緒でキャバクラでバイトすればその程度の時給は貰えるかもしれないが、男子にはこんなに時給の高いバイトは滅多に無い。

身長は百六十三センチ以上、百八十七センチまで、年令は十八才から三十七才までとある。僕は身長も年令も丁度その下限に入っている。「美しさ、顔、スタイル、体型などに自信がある方」と書いてあり、自分で言うのは少し恥ずかしいが、その点もクリアしている。時給が高いのは、まさにこの点をクリアする人が稀だからだろう。

僕はスタイルが一番よく見える黒のTシャツとグレーのタイトなパンツに着替えて全身像を数枚撮影し、一番良さそうな写真を添付してアトリエ小惑星にメールで申し込んだ。

メールを送信したのは昼過ぎだったが、夕方に返信があり、翌日の午前十時からのオーディションに来て欲しいとのことだった。交通費は全額支給すると書いてあった。アルバイトの募集なのに一方的にオーディションに呼び出して、気に入らなければ採用しないというのはどうかと思ったが、交通費を支給するということは僕が送った写真を見て、少なくも候補者として認めたということだろう。どうせ他に予定があるわけでは無いから行ってみることにした。

僕はテレビのドラマやルポで俳優のオーディション光景を何度か見たことがある。会議室に数人の審査員が座っていて、その前に立つか椅子に座るかして質問に答えたり、セリフを言ったりして合否が判定されるというものだ。会議室の外には何人もの、場合によっては何十人もの応募者が座っていて、名前か番号が呼ばれるのを待っている。自分がそんなオーディションを経験することになるとは思ったことが無かったので心が躍った。

アトリエ小惑星は地下鉄の駅から数分歩いた雑居ビルの四階にあった。無人の受付カウンターでメールに書かれていた番号をダイアルした。名前を言うと「その場でお待ちください」と言われた。一分もしないうちに電話の相手らしい大柄な三十代の女性が受付に来た。

「あのう、オーディションの会場はどちらでしょうか?」

女性は可笑しそうな表情を見せて「こちらにお越しください。」と僕を受付の横の小さな会議室に連れて行った。

座って待っていると、その女性がコーヒーの入った二つの紙コップを持って戻って来た。

「アトリエ小惑星 代表取締役 社長 篠原美由紀」と書かれた名刺を渡されて僕の緊張は一気に頂点に達した。社長という肩書の人と面と向かって話するのは生まれて初めてだった。

「オーディションと書いたけど単なる面接のことよ。写真の通り美しい人かどうかを会って確かめたかっただけだから緊張しないで。」

僕はほっと一息をついたが、期待していたようなオーディションを経験できなくなったのは残念だった。篠原社長は僕の落胆に気付いたようだった。

「ひょっとしてAKBのオーディションみたいなことを想像していたの?」
それは図星で、僕はまさに一週間ほど前にテレビで見たAKBのオーディション光景を頭に描いていたので、赤面してしまった。

「アハハハ。あなたの年令だとそんなことを考えるのね。」

「は、はい・・・。」

「モデルの経験はどの程度あるの?」

「全くありません。生まれて初めてです。」

「やっぱり。じゃあ、まず詳しく自己紹介をして。形式は問わないから。」

「谷崎凛太郎と申します。N大学の一年生です。1998年3月6日生まれの十八才です。実家は福島市で父母と姉、妹がいます。趣味はテレビを見ることぐらいです。ひとりでボオーっとしているのが好きです。身長は百六十三センチで、バランスの良い体型がセールスポイントだと思います。ええと、それから・・・。」

「そんなところでいいわ。普通の就職面接での自己紹介だったらアウトでしょうけど、モデルの自己紹介としてはOKよ。」

「普通だとどんな点がアウトなんでしょうか?」

「趣味がテレビでひとりでボオーっとしているのが好きと言う学生を採用する職種は受付嬢ぐらいじゃないかしら。」

「なるほど、勉強になりました。」

「モデルの面接では話すときの表情、目の動きや口元、声質などを見るのよ。全ての項目において合格。難点は身長だけど、自分で言っていたように体型のバランスが良いから合格にしてあげる。」

「身長は一応下限には入っていますので。」

「少しサバを読んでない?」

「三ミリほど。」

「聞かなかったことにするわ。」

「ありがとうございます。」

「じゃあ、今週金曜日のデッサンクラスから来てくれるわね?その次は来週金曜日のクロッキークラス。」

「はい、大丈夫です。ところでデッサンとクロッキーとはどう違うのですか?」

「モデルを見ながら時間をかけて質感や陰影の濃淡まで詳しく描くのがデッサン、短時間で把握して速写するのがクロッキーと思っておけばいいわ。うちのアトリエの基本は二十分間のポーズのあと十分間の休憩だから、一時間半のクラスだと三セットになるの。デッサンの場合は三セットとも同じポーズ。クロッキーの場合は先生の指示によってポーズを変えるの。五分以下の場合もあるわ。」

「絵描きさんは二十分毎に休憩を取るんですね。知りませんでした。」

「休憩するのはモデルだけよ。二十分間同じポーズを取ると疲れるから十分間の休みをくれるのよ。モデルが休んでいる間も描く側は休まない。」

まるでゲスト扱いだと思った。楽そうな仕事だなと思ったが、勿論口には出さなかった。

「募集を出したデッサンクラスとクロッキークラスのモデル以外にも単発の仕事を受けることは可能かな?アトリエ小惑星は私がクラスを教えるのと、場所貸しの両方で成り立っているの。レンタルの場合はお客さんが自分でモデルを手配して連れて来るのが基本なんだけど、時々モデル込みのレンタルの依頼もあるのよ。引き合いがあった時点で私からメールで都合を聞いて、もし都合が合えば来てもらうことになるけど。」

「学生ですから大学の授業が優先ですけど、時間が合えばお引き受けします。特に夏休み中は暇ですから大歓迎です。」

「今日の十一時から二時間のレンタルのお客さんで、モデルが病気でドタキャンになったから手配できないかという問い合わせが今朝入ってお断りしたんだけど、もし良ければオファーしてみようか?お客さんは幾つかプロダクションに当たってみるとは言ってたけど時間的に難しいから手配できなかった可能性が高いと思う。」

「今日は完全にフリーですから大丈夫ですよ。」

「じゃあ、お客さんに電話してみるからしばらく待っていてね。」
社長は部屋から出て行ったが五分ほどして戻って来た。

「成立よ。モデルの代わりに使う石膏像を車に積んだ所だったらしくて、とても喜んでいたわ。初めてだから時給は二千五百円だけど、今日は十パーセントの緊急割り増しをつけて二千七百五十円。二時間だから五千五百円よ。それで良いわね?」

「はい、結構です。募集広告には二千五百円から四千八百円と書いてありましたけど、経験とともに時給が上がるのでしょうか?」

「売れっ子になれば別だけど経験を積んでもそんなには上がらないわ。うちでは二千五百円が基本で、専属契約を結べば上乗せがある。四千八百円というのはヌードモデルの場合よ。私のクラスでヌードモデルを使うのは女性だけだけど、レンタルのお客さんでたまに男性のヌードモデルの引き合いもある。もし興味があるのなら登録しておけば引き合いがあった時に連絡するわ。その場合は後で全身像を撮影させてもらうけど。」

「ヌードはちょっと・・・。」

「恥ずかしいと思うのは未経験のモデルさんだけよ。デッサンする側は石膏像と同じオブジェとしか思っていないから。」

「将来の課題という事で。」

「男性のヌードモデルの場合は古代ローマの彫刻のような肉体をイメージして探す場合が多いから、失礼だけど谷崎さんの場合はお客さんの希望に合わない場合も多いと思う。でも一応全身の裸像は撮影しておかないと引き合いが来ないわよ。」

「いえ、やっぱりヌードはやめときます。」

「分かったわ。気が変わったら教えて。じゃあ、十一時の開始まであと五十分ほどだから、この部屋で待っていてね。飲み物はそのコーヒーだけにして、十一時までにこの突き当りのトイレに行っておくこと。二時間はトイレに行けないと思っておいて。」

「二十分毎に休憩があるんじゃないんですか?」

「それは身体を休めるためよ。レンタルの場合はどんな衣装になるか直前まで分からないことが多いし、トイレに行くと衣装の線が崩れるから、できるだけトイレに行かないのがモデルとしての心がけ。」

そう言って社長は部屋から出て行った。

オーディションを受けに来るだけのつもりだったのに五千五百円もの臨時収入があるというのは朗報だった。それにしても割の良いバイトだ。時給二千五百円だと一日四時間、ひと月二十日間働けば、二十万円の月収になる。就職しなくても生活できるレベルだ。しかも二十分ごとに休憩を取れたり、大事に扱ってもらえる楽な仕事のようだった。

僕はもうすぐ始まるモデルの仕事のことを想像してワクワクしたが、十一時が近づくに連れて緊張してきた。十一時十分前に社長が部屋に来た。

「トイレは済ませた?そろそろお客さんが来るからアトリエで待機して。これがあなたのプロフィールよ。」

社長からプロフィール画面をコピーしたものを渡された。「モデル名:りん」と書かれた下に、全身と上半身の画像が並び、身長、体重、年令と血液型が記されているだけのシンプルなものだった。

「りん、ですか?」

「谷崎凛太郎と本名を書くことも可能だけど、美しさが売りのモデルはストーカー被害などを防止するために本名は使わないことをお勧めするわ。男性モデルは普通苗字が入るけど、あなたの場合は短い名前の方が売りやすいと思う。」

「いえ、りんで結構です。平仮名で書かれていたので面食らっただけです。」

「最初、『凛』と漢字で書いてみたんだけどしっくりこなくて、片仮名の『リン』と平仮名の『りん』を並べてみたら平仮名がフィットしたのよ。」

「へえ、色々考えるんですね。」

「そりゃそうよ。あなたにとっても自分の名前は大事でしょう。さあ、ぐずぐずしていられないわ。」

僕はトイレに押し込まれた後、二十畳ほどの教室のような部屋に連れて行かれた。前方の教壇の位置にホワイトボードがあり、その近くの中央に移動式の台がある。その周囲が折り畳み式の椅子を置くスペースになっていた。

その時、受付から社長に呼び出しがあった。僕はアトリエで立って待っていた。社長は七人のグループを率いてアトリエに戻って来た。男性三名と女性四名だったが年令は四十代から七十代に幅広く分布している。

「これがモデルのりんです。」
社長が右手を向けて言った。

「りんと申します。よろしくお願い申し上げます。」
とお辞儀をした。

先生格らしい五十代の男性が僕に衣装を手渡して「ローマ時代の農夫の衣装です。」と言った。僕は着替える場所を探そうとキョロキョロしたが隅に移動式の仕切りが置いてあったのでその陰に行った。それは麻袋を思わせる素材でできた被るだけの服で、ウェスト部分を紐で縛るようになっていた。パンツ一丁になってその服を被った。分かりやすく言えばざっくりとした膝丈のワンピースだった。

ホワイトボードの近くまで戻ると先ほどの男性から靴を脱いで台の上に立つように言われた。

「靴下もですよね?」
と僕が聞くと、社長に睨まれたのですぐに裸足になり、台の上に立った。

「両手を軽く広げて『ああ』と絶望の吐息を出しながら天を見上げるポーズでお願いします。」

僕は言われた通りのポーズを作ったが、まるでマネキンのようにその男性に手や首の方向を動かされ、口と目の開き方まで注文を付けられた。

「それで結構です。動かないで。」

僕は斜め上を見ているので七人が何をしているのかは殆ど見えないが、僕と画用紙を交互に見ながら鉛筆を走らせているのは確かだった。社長が出て行った気配は感じられなかったので、多分社長は僕がちゃんとモデルの役目を果たすかどうかを心配して見守るか見張るかしているのだろう。

「隅田先生、ローマの農夫の男性という設定で描いて良いんですよね?」
男性の一人が質問するのが聞こえた。

「それは皆さん次第です。若い男性、少年、胸の小さい少女、或いは捕虜にした敵国の王子が去勢されて奴隷になっているのかも知れませんよ。ご自由に想像力を発揮してください。」

「そういう意味では最高のモデルさんね。よかったわ。」
母よりも年上の女性の声だった。

それは面と向かって「お前は中性的だ」と言われるのと同じで嬉しくはなかったが、僕は考える余裕のない状況だった。というのは、二十度ほど左右に開けている腕がしびれてきて、腕を動かさないようするのに必死だったからだ。肘が反り返るほど真っすぐに伸ばし、掌がやや外側を向く位置で止めたのが間違いだった。その方が恰好は良いのだろうが、人間の腕は外側に捩じって肘を反り返らせた状態で長時間固定するようには出来ていないのだ。上腕部が痛くなりぴくぴくと引きつり始めた。でも動かすことは許されない。拷問とはこういう状況のことではないかと思った。最もつらいのは視野の中に時計が無いので拷問状態があとどのくらい長く続くかが分からないということだった。既に一時間が過ぎた気がするが、まだ五分しか経っていない可能性もあった。「ああ、もうだめだ。」そう思った時に先生から声がかかった。

「モデルさんご苦労さま。十分間の休憩に入る前に今のポーズと角度をしっかり覚えておいてください。」

このポーズは身体が嫌と言うほど覚えている。僕は足の位置と身体の向きを確かめてからポーズを解いた。七人はわき目も降らずにデッサンの作業に集中している。僕は彼らの視界の外まで歩いて行って屈伸運動をした。そして両手を交互に使って肩から上腕部をマッサージした。肩を回しながら七人がどんなデッサンをしているのかを遠目で覗くと、同じモデルを見て描いているのにここまで違うのかと驚いた。ローマ戦士のような絵もあれば、明らかに女性を描いているものもあった。どうせ初心者で下手だから似ていないのだろうと思ったが、よく見るとそれぞれの画像は立派だった。

「モデルさん、元のポーズをお願いします。」

先生はGショックのような大きな腕時計とにらめっこしている。モデルを一秒でも余計に休ませることのないように管理しているのだろう。僕は台の上に戻って先ほどと同じポーズを取ったが、肘が反るほど真っすぐに伸ばさないよう注意して、腕を外転する角度も減らした。すると先生が僕のところに来て、肘の伸ばし方と腕を捩じる角度を元と同じになるように修正した。「オニ!」と思ったが仕方ない。僕はマネキン人形なのだ。

社長がアトリエから出て行くのが気配で分かった。僕が一応モデルとして通用することが分かったから仕事に戻ったのだろう。

肘と腕はだるくはなったが先ほどのように痙攣寸前になることはなかった。身体がこの状態に慣れて学習したという事だろう。今度痛くなったのは首と口だった。人間の首は真っすぐ伸ばして前を見るように出来ているのだ。四十五度以上の仰角で固定することには相当な無理があることを思い知った。それ以上に苦痛だったのが口だ。僕は小さい時から口を半開きにしていることを祖母や母に指摘されては口をつぐんでいた。だから口を開いたままにすることに問題は無いはずだったが、「ああ」と天を向いて絶望する時の開口度は半開きより二段ほど大きく開いた状態だ。それを維持するのは本当につらい。顎が痛くなるし、もしハエでも飛んで来たらどうしようと心配になった。首が今にも折れそうな感じになった時に「モデルさん、休憩していいですよ。」という声がかかった。

残った二セットのポーズは惰性で何とかやり終えた。恐らく僕のモデルとしてのパフォーマンスは最後の二十分間がベストだったのではないかと思う。というのは、当初は絶望して天を見上げる自分を演技していたのだが、最後のセットの場合は本当に絶望して天井を見上げていたからだ。

「はい、ご苦労さま。」

緊張の糸が解けて僕がその場で首と肩を回し始めた時、既に社長がアトリエに来ていたのに気付いた。

「りん、頑張ったわね。」
社長が僕の肩に手を乗せて言ってくれた。
「初めてやるときが一番しんどいのよ。次からはずっと楽になるから。」

僕はどれほど酷い拷問状態だったかを社長にぶちまけたかったがお客さんの前なので黙って微笑んでいた。

「りんさんでしたね。いやあ、実によかった。実はもう少し男性的なモデルさんをイメージしていたので、十一時に来た時には正直なところがっかりしたんですが、描いてみて価値が分かりました。ボディーや顔の部品の一つ一つが精密にできているし、想像力をかき立てられるオブジェでした。」

「先生、来週は従来のモデルさんに戻るんですか?」
一番若いと思われる女性が質問した。

「りん、どうなの?」

「夏休みは九月二十四日までなのでそれまでは大丈夫ですけど・・・。」

「皆さんいかがですか?九月二十四日までりんさんにお願いしますか?」
全員から「賛成」という声が上がった。

「それではりんさん、お願いします。」

「はい、承知しました。」
僕ではなく社長が答えた。

「月一回はヌード・デッサンですが、それも大丈夫ですよね?」
先生が社長に質問した。

僕が口を出す前に社長が「料金は倍ですが」と言ったので僕は慌てた。

「勿論承知しています。」

「分かりました。りんは新人でヌードはまだ契約に入っていませんが本人を説得しておきます。月一回とはいつですか?」

「来週のこの時間になります。」

「分かりました。」

「りん、衣装を脱いでお返ししなさい。」

僕が衝立の陰で衣装を脱いでいた時に社長が来た。

「悪いけどパンツを脱いで足を拡げてちょうだい。もしあまりにも酷すぎたらお客さんからクレームが出るからアソコを見ておきたいの。」

僕はパンツを脱がされる事よりも社長の上から目線の態度に戸惑ったが、プライド的にはちゃんと見せておこうと思いパンツを下ろして股を拡げた。社長は屈んでじっくりと見てから指先でチョンチョンと持ち上げ「合格」と言った。

僕がパンツを上げてズボンをはいている間に社長は衣装を畳んで客に返しに行った。モデルとしてはお客さまを見送るべきだと思っていたが、七人の客は社長に率いられてそそくさと出て行った。僕に挨拶する必要は全く感じていないようだった。

僕は客が使った椅子を元に戻してアトリエを整頓した。そこに社長が戻って来た。

「あら、整頓してくれたのね。そんなに気が利くモデルさんは珍しいわ。私の部屋でコーヒーでも飲んでいかない?」

僕は立派な社長室をイメージしていたが、連れて行かれたのはデスクが三つの小さな事務室で、その横に四人分の応接スペースがあった。四十代の事務のオバサンが一人座っていた。

「こちらは米倉常務よ。米倉さん、新人モデルのりんよ。」

ただのオバサンと思った人が常務だと分かって緊張した。

「そんなに緊張しなくても良いわよ。米倉常務というのはハッタリ。私の姉が家事の合間に手伝ってくれてるだけ。普段は姉さんと呼んでるの。このビルは私たちの父が所有していて、私はこのフロアを父から借りてるのよ。芸術学部を出て絵の先生をしているうちに、三、四年前から場所貸しも始めたの。手を広げると忙しくなるから、モデル付きレンタルまでやるつもりは無かったんだけど、お客さんの要望が強くて仕方なく始めたのよ。」

「モデルは何人ぐらい雇ってらっしゃるんですか?」

「りんを含めて四人よ。金曜日のデッサンクラスは生徒五人にモデルが一人だからりんを含めて三人のモデルが揃うわ。今まで男性のモデルは誰もいなかったのよ。」

「それで募集を出されたのですね?」

「やっぱり気付いてなかったのね。あれは女性のモデルの募集広告よ。スタイルの良い美人に限ると遠回しに書いたつもりだったんだけど。」

「でも身長は百八十七センチまでと・・・。」

「うちの三人の女性モデルのうち二人は百八十以上よ。もうひとりはとても小柄で百六十七しかないけど。ファッションモデルを目指す人が生活費のために絵画モデルをするケースが結構多いのよ。私はその手のモデルが好みなの。」

「すみません・・・。」

「メールに凛太郎と書いてあって驚いたけど、美人だからオーディションに呼んだのよ。予想以上だったので即採用ってわけ。すぐ商売になったから良かったわ。」

「商売になったって?」
米倉が社長に質問した。

「今まで場所貸しだった今日のお客さんがりんを気に入って、次回からモデル付きに変更になったのよ。それも月一回はヌードで。」

「社長、やっぱりそれ困ります。」

「何が困るの?ウェブサイトにヌードモデルとして載せるわけじゃないのよ。今日のお客さんはサンプル画像も見ずに来週のヌードモデルの注文をしたんだから、りんは台に立つだけ。今日やっていて分かったと思うけど、お客さんはりんを単なるオブジェとしか見ていないの。だから今日も挨拶もせずに黙って帰ったでしょう。」

「そう言われてみれば確かにそうですけど・・・。」

「来週やってみてどうしても嫌だと思ったら、それっきりにすればいいのよ。二時間で九千六百円なのよ。時給八百円で十二時間汗だくになって働くのとどちらが良いと思う?」

「じゃあ、来週はお引き受けして、その結果でそれ以降どうするかを僕が決めるということで良ければ。」

「了解。契約成立よ。」
社長に手を差し出されて握手した。


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性転のへきれきの英語小説が伸びてきました

欧米でも性転のへきれきの読者がボチボチ増えてきました。英語でTS小説の出版を開始したのは去年の5月で、当初は「時々売れるかな」という感じだったのが、「おおっ、今日も買ってくれた」から「売れている日の方が多い」、更に「売れない日は殆どない」に変化して、今年の5月に初めて「販売数ゼロの日がゼロ」の記録を樹立しました!まだ売上的には日本語小説の数分の一のレベルですが、英語人口は日本語より一ケタ以上多い上に、性的マイノリティーの顕在化度合も日本より先行しているので市場規模が何十倍も大きいのです。

“性転のへきれき”のシリーズ名は”TRANS OUT OF THE BLUE”と表記していますが、英語版TS小説はホラー、ミステリーなど特定の分野でシリーズ名をつけています。

  • SLIPPERY SLOPEシリーズ:「落とし穴」ミステリー
  • FORBIDDENシリーズ:「禁断」ホラー
  • HIJRA, THE 3RD GENDERシリーズ:「HIJRA」ヒジュラ専門
  • TRANSGENDER MYSTERYシリーズ:その他TS小説

英語版TS小説の全作品リストはこちらです。

日本では性転のへきれきシリーズの多くの読者の方に支えられていますが、欧米では完全に無名の私の小説に目を止めてもらうのは至難の業です。これを打開するため、5日間の無料キャンペーンを一ヶ月あたり30日程度実施するようになって販売数が増加しました。読んで「面白い」と感じた方が次作を購入してくれるという点は万国共通のようです。

「英語の小説なんて全く興味ない」という方が殆どとは思いますが、とにかくフルバージョンの5日無料キャンペーンを全部の英語作品について打ち続けていますので、ぜひ一度お試しください。

TS小説ですので「お子さまの英語教育用にお役立てください。」と言えないのが残念ですけれど・・・。


桜沢ゆうの英語小説の日本での売れ行きが増加?

A Slippery Slope in a Hotspring桜沢ゆう (Yu Sakurazawa)の作品のうち日本語の小説は amazon.co.jpで、英語の小説は amazon.comで販売しており、毎月Amazonから前月の販売実績が届くのですが、珍現象?が発生しています。

英語の小説の amazon.co.jpでの売上が増加したのです。昨年までは殆どゼロだったのが、2016年3月を例にとると、ダウンロード数が49冊で、そのうちお金を払って購入して頂いたのが5冊でした。日本在住の外人や日本に出張中の外人はamazon.comやamazon.co.ukで購入するので、この49冊の大半は日本人読者によるものと考えられます。

Amazon.co.jpでのYu Sakurazawaの小説リストはこちらをクリックしてご参照ください。

性転のへきれきの読者で「英語の小説も読んでみよう」と果敢にチャレンジさる方がいらっしゃるとは心強い限りです。帰国子女の若い方々でTS小説を読みたいと思って私の英語小説を気軽にダウンロードされているのかも知れません。Forbidden Asylum

日本語とほぼ同じ内容の小説を英語で出したのはまだ2冊だけです。

というのは、例えば「スイッチ」とか「ある若いホームレスの立身出世物語」とか、性転のへきれきシリーズの会社物小説などをそのまま英語化しても、まず売れない(風土が違い過ぎる)からです。英語版でもオフィスもののTS小説(例:Slippery Slope in a Bank)の売行きは好調ですが、その日本語版を書いても、風土が違うのでもうひとつ面白く感じないと思います。また英語小説を和訳したり日本語版を書くのは、ゼロから日本語小説を書くよりも、むしろ労力と時間を要するのです。

Ghosts Alive英語を勉強する場合のコツとして「自分の興味のある内容の本を英語で読むのが良い」とよく言われます。性転のへきれきシリーズの読者の方でしたら、Yu Sakurazawaの英語小説を読むのが近道かも知れませんよ!

 


私はクローンの4種類の表紙カバーに関する説明

もし目覚めた時に身体が女性になっていたら・・・

性転のへきれきシリーズの魅力はリアリティにあると言われます。読者は物語を読みながら主人公と同じ視点で感じ、考え、変化をリアルに体験することができる、それが性転のへきれきの真骨頂です。「私はクローン」の主人公は向坂大悟というIT会社の社長ですが、定期検診で末期がんであることが判明し余命3ヶ月を宣告されます。「私」は金とコネを活用し2つの起死回生の対策を講じます。一つは自分のクローンを作成し脳内の情報を転写することでした。この小説は研究所の冷たいベッドの上で目が覚めた「私」の一人称で語られる物語です。読者は「私」と一緒にクローンとしての目覚めと新たな人生を体験することになるのです。(Amazon商品ページの説明を引用。)

私はクローン(性転のへきれき・里奈の場合)は複雑な事情により4種類の表紙カバーが存在しますが、小説の中身は同じですので、重複して購入されないようご注意ください。

私はクローン 私はクローン 私はクローン_R18晩 私はクローン_通常版

左上が当初10月13日に出版した「私はクローン」の表紙です。主人公がクローンの研究所の一室で目覚めた姿を象徴する画像で、非常に良い表紙と自負していたのですが、Amazonは「女性ヌード画像」と判断し、通常のAmazonでの検索では表示されない限定アダルト作品に分類されてしまいました。

やむなく表紙を無難なイラストに変更してAmazonに分類の修正をお願いしたところ、検索可能な状況に改善してくれましたが、(一旦アダルトと分類された作品は非アダルトに変更しないルールではないかと推測しますが)2度の要請にもかかわらず、アダルト分類を外してくれませんでした。

そこで仕方なく、Amazonに迎合することにして、出版済みの「私はクローン」を「R18版」というサブタイトルに変更したのが、上記の3番目の表紙のものです。

一方、改めて「私はクローン」を「性転のへきれき・里奈の場合・正規版」として並行してアップロードしたのが4番目の表紙です。結局、これでアダルトに分類されない「私はクローン」を出版することができました。

アダルトに分類されると、18歳以下では買えなくなり、また書籍検索で表紙画像が表示されなかったり、ランキング等の発表でも対象外になるなど、非常に不便なことになります。「私はクローン」は性交シーンが無く(女性どうしが絡むシーンが最小限存在しますが)、アダルトとは程遠い作品です。

なお、最終的な正規版では、短い「序章」が追加されています。古い表紙の「私はクローン」を既に購入された方のために、序章を以下の通り掲載させていただきます。


序章

私は生きている。私はこの身体でここに存在し、この脳で思考している。私のクローンが誕生した場合、そのクローンは自分を「私」として、私と同じ身体で、私と同じように思考するだろう。 もし私がそのクローンを前にした場合、どのように呼びかけ、対話したらよいのだろうか。そして、そのクローンは私を見て自分自身と認識するのだろうか・・・。



男性サラリーマンが女性の制服を着てOLとして働くよう追いやられる小説

まず、Amazon原作開発プロジェクトコンテストで優秀賞を受賞した「採用面接」は男性サラリーマンが女性の制服を着てOLとして働くよう追いやられる小説の代表といえます。

性転のへきれきシリーズの小説は基本的にMTFのTS小説ですので、主人公がサラリーマンの場合はOLとして働く羽目に陥る(落とし入れられる)という状況が往々にして起きてしまいます。一般職に制服が制定されている場合はOLの制服で働き、舞台が病院の場合はナース服ということになるわけです。

最近の作品では「ポケモンGO・私はこれで会社を辞めました」がその最たるものです。仕事中にポケモンGOをしたために厳しすぎる処分を受けた社員が腹いせに自分の経験を脚色して小説として出版しますが、名誉棄損で訴えると迫られて、話の辻褄を合わせるためにOLとして働くことを余儀なくされます。

落第ヘルパー」は性転のへきれきシリーズの中でも最も人気の高かった小説で病院を舞台にした医療小説です。4月1日から研修医として就職するはずの医大を出たばかりの主人公の男性が、3月はヘルパーとして働くことになるのですが・・・。

「落第ヘルパー」の後に出版された「他人の空似」も病院が舞台の小説です。

性別による差別がない会社」の主人公は国際事業部の新入社員で、隣りの課の奈帆に淡い憧れを抱いていました。奈帆から実は自分は年上の人からプロポーズを受けたと打ち明けられた日、主人公は奈帆に自分こそは奈帆に相応しい結婚相手だと名乗り出る決意をします。日本の企業のLGBT対応を背景にして、どの会社で起きてもおかしくない、性別を越えたカップルの誕生や、それに伴う社員の常識の変化に関する小説です。

会社の中の境界線」で主人公が就職した会社には制服はありません。ゲームソフトウェアの会社です。男女の境界が無いのがこの会社のモットー。しかし気が付いてみると会社で上位職の社員は全員が女性でした。

ある若いホームレスの立身出世物語」の主人公は大卒後サービス業のブラック企業に就職しますが退職に追いやられホームレスになります。ひょんなことから親切な紳士と出会い、その紳士の経営する企業グループに就職することになるのですが・・・

合コンはB案で」の主人公は同じ課の一般職の女性から合コンでドタキャンが出たということで代役として誘われます。四対四の合コンに行ってみると自分以外の七人は全員が女性でした。相手方の四名は医者、弁護士など。こちら側の四人のうち一人は同じ課の総合職の女性上司でしたが、主人公は彼女の機嫌を損ねた結果大変な目に合うことになります。

支配する女(女性上司の妻になった男)」に登場するのは35歳のエリート女性上司です。主人公は新入女子社員(長身帰国子女)を指導する立場だったのですが、優秀すぎる後輩との立場がだんだん微妙に……。

偽装のカップル」では主人公は義父の会社のナンバー2としてスカウトされたと思い込んで意気揚々と出社します。しかし主人公を待っていたのは……。

女性が主流の会社への就職」では新入社員60人のうち、主人公の男性を含む総合職3人、一般職3人がFPU部門に配属されます。FPUは総員30名ですが主人公がただ一人の男性です。職場の花としてちやほやされるのは良いのですが……。

女性管理職になりたかった男」は性転のへきれきシリーズの第18作目の作品ですが、実は第20作目となる予定を繰り上げて完成し出版したものです。繰り上げた理由は第15作の「一般職になった男」の販売が異様な好調ぶりだったので、「男性サラリーマンが何らかの事情で女性の制服を着てOLとして働くように追いやられる小説」が待望されているのだろうということで、同様のテーマの作品を先行させたのです。

究極は「世界維新」ではないでしょうか?世界維新の結果、全世界の男性が補助的な職業にしかつけなくなり事務職の場合OLの制服が当然になります。

一般職になった男」は題名がそのものずばりなので、キーワード検索から購入されるのだろうと推測していますが、性転のへきれきシリーズで「OLになる」ストーリーは他にもあります。

まず、第2弾の「かおりの場合(ラブストーリー)」は、建設会社の情報システム部に勤務していた男性の転職先が女性が主力の企業で、ある事情により女性のフリをして働くことを余儀なくされるというストーリーです。但し、女性のプログラマーとして働き、いわゆるOLではありません。また、その会社には制服がなく私服のスカートでの勤務となっています。

第5弾の「えりの場合(あなただけが好きだった)」は本格的な「強制OL化」のシーンがあります。主人公は証券会社のエリート社員で最年少副部長ですが、ある事情により子会社に左遷させられます。出向先では当然経営陣の一角だろう思って出勤してみたら「お前は一般職だ」と言われ、むりやりその場で制服を着せられます。

第10弾の「日本で同性婚が許可になった日」では、主人公が年上の一般職社員の策謀によってOLの制服を着る状況に追い込まれ、そのまま帰宅させられます。


よじれた戸籍(ユキの場合)通常版 vs. R18版

よじれた戸籍(ユキの場合)は性転のへきれきの第6弾として2014年11月に出版された小説です。濃厚なレズ性交シーンが何か所か含まれていたためR18分類で出版しました。

しかし、R18分類での出版の場合、Amazonの著者ページでの表示、表紙画像の表示、検索でのヒットなどの点で多くの不便があり、性転のへきれきで断トツの長編(17万文字)かつ内容的にも力作であるにもかかわらず、販売部数が他の作品より低いレベルとなっていました。

この点に対処するため、原作の文章で濃厚なレズシーンに該当する部分を編集・一部削除した「通常版」(非アダルト版)を2015年10月3日に出版させていただきました。

よじれた戸籍・通常版 

通常版のストーリーはR18版と同じですので、既に原作(R18版)を購入済みの方は重複購入されないようご注意ください。


「性転のへきれき」には「リアル性転換系」と「非リアル系」がある?

女流作家・田吾作の出版のお知らせの記事に、「オンナ道againを見て田吾作を購入した」という趣旨のコメントの書き込みがあり、そのサイトを訪問しました。オンナ道again オトコに生まれたのにオンナ道を突っ走るアタシwwというサイトの「久しぶりに萌えたTS小説 その2」という記事に「女流作家・田吾作」が気に入ったと書かれており、心から感謝しました。

「ゆかっち」さんによると、性転のへきれきの小説は「リアル性転換系」(1998~2003に出版された旧作もこのリアル性転換系)と、新系統である「SF系」に分かれるとのことで、「なるほどねえ」と再認識した次第です。

元々性転のへきれきは、リアル性転換系が「主義」でした。まずはレーザー脱毛に通って、できる道を一歩一歩自分で歩むことが最も大切という押しつけがましい主張をしてきたような記憶があります。10年余りの休筆の後で書いた「よじれた戸籍」も、まさにリアル性転換主義の代表といえる長編小説でした。

初めてリアル性転換系の外に踏み出した小説は「雷に打たれた女」(美玖の場合)でした。小説の冒頭部分で、非常に古典的な性転換(男女がゴッツンコして雷に打たれた瞬間に入れ替わる)を簡単に完了させることによって、若い女性の身体に入ってしまった中高年男性の心の揺れを描いた作品です。脳の中身が入れ替わるということの意味を自らに問う、私自身が精神的に悩んだ作品です。自分が性転換するという意味・意義について当事者に深く考えるきっかけを提供する、結構面白い作品だと自負しています。

その後はリアル性転換路線に回帰して、

の3作品を出版しました。第三の性への誘惑は、性転のへきれきを「フォレスト・ガンプ」風に書いてみた作品で、インドのヒジュラという公式な第3の性を題材にした自信作です。

リアル性転換へのこだわりから離脱することによって、もっと面白い性転小説が書けるかもしれないと思い立って「未来シミュレーター」という装置を考案しました。秋葉原のツクモ電子の角を左に曲がったところにある小さなビルの5階で手続きをして、別世界に飛ぶという設定です。別世界とは心の中(潜在意識を含む)にある願望が実現された世界で、それは結局パラレルワールドなのですが、驚くべき世界です。「危険な誘惑」という作品ですが、性転のへきれきの新作としては出版直後の売れ行きが従来ペースの50%という不振で、MTF読者的にはもうひとつ面白くないというコメントも複数いただきました。主人公が女性であり、パラレルワールドでは主人公の親友(女性)が男性になる(FTM)ものの主人公は女性のまま、ということで、MTF読者としては感情移入できなかったようです。

そこで、主人公を男性として、主人公が彼女と一緒に行ったパラレルワールドでは主人公が女性になり、彼女は男性になる、というストーリーに書き直したのが「危険な誘惑・MTF版」(犬になった女)です。これは飛ぶように売れたというのは大げさですが、通常以上に好評でした。理由としては多分、危険な誘惑(原作、MTF版の両方とも)が性転のへきれき始まって以来の超ドM作品だったからだと思います。原作はMな女性読者を頭に置いて書いたこともあり、どんなドMのAVにも負けないほどM度が高い作品になっています。

その後の出版は以下の通り、リアル性転換系が多いですが、秋葉原の装置を活用して、ディストピア(反ユートピア)のパラレルワールドを描いた「男が妊娠・出産する世界」は結構好評でした。ただ、私がパラレルワールドのディストピアを書くと、どうしてもマゾヒスティックな内容に傾きがちで、この作品も(危険な誘惑ほどではありませんが)M度の高いストーリーになっています。

春日なる性転の泉は、お恥ずかしいのですが「よしっ、そろそろ賞に応募して有名になってやろう」と思い立って書き始めた小説です。結局のところ、早く性転のへきれきのファンの方に読んでほしいという気持ちが抑えられず、すぐにAmazonで出版してしまいました。(賞に応募すると、落選が決まるまで出版できませんので・・・。)長野の佐久にある実在の露天風呂に入った後でその奥にある山中の秘湯に入ると若返るだけでなく性別が変わる、という「性転換メカニズム」です。この「性転の泉メカニズム」は10年以上前から書きたいと思い続けてきたもので、やっと今回実現しました。愛とは何か、性とは何か、魂どうしが引き合う愛について問い続ける作品です。といっても、哲学的なお固い小説ではなく、性転のへきれきらしいエンターテインメント作品になっています。

次作はリアル系2作品と、性転のへきれきでは初めての遺伝子・分子生物学がらみの作品を執筆中で、どれが先に出版されるのかは私自身にもまだ分かりません。

今後も、リアル系を主体に、社会的ソフトSF系(リアル系と重なる場合も多い)、パラレルワールド系(特にディストピア系)を交えて、毎月新作を出していきたいと意気込んでいます。SFの手法を使う場合でも、読んでいて現実世界との境目が分からなくなるようなリアリティの高い小説を書きたいと思います。

 

【参考: 旧作5作品のリンク】

突然の性転換 (ひろみの場合 第2版)
ラブストーリー (かおりの場合)
夫婦スイッチ (由香の場合)
香港の娼婦 (洋子の場合)
あなただけが好きだった (えりの場合)